957: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/27(水) 22:48:05.77 ID:ZsHX3CDOo
・・・
眞宵堂の中に入った2人は、店内を見回して嘆息する。
壺だの絵画だの土偶だの、およそ昔に存在した遺物は全て網羅しているのでは、と言う程の品ぞろえだった。
「なーンか雰囲気ある店だなァ」
「そうですね。何かがありそうに思えるのでございます」
「……そう言ってもらえたらありがたい限りだね」
すると店の奥から店主らしき女性が現れた。
鋭い目つきながらも見た目麗しいその女性は、「白衣の似合いそうな知的美人」と言ったところだろう。
とはいえここは古美術店で、白衣とは全くの無縁な場所なのだが。
「あンたここの店主かァ?」
「それ以外の何に見えるってんだい?」
「いや、随分とまァ白衣が似合いそうな美人が出てきたもンだって思ってなァ?」
「こんなおばさん捕まえて何言ってんだい?
口説きたいのなら、10年早く生まれて出直してきな」
「ハッ、お世辞だっつうの。手厳しいババァだぜ」
「鈴科さん?女性に向かって「婆」などと言ってはいけませんでございますよ」
「ははっ、気にしなくていいよ、お嬢ちゃん。むしろ変にお世辞を言われても困るんだよ。むず痒い」
女店主は口角を少し上げながら気にしていないと言う。
それでもオルソラ=アクィナスは納得していないのか、まだ何か言おうと口をもごもごとさせていた。
すると女店主は、「そんなことより」と会話を打ち切り、その鋭い目つきで2人を射抜いた。
「こんなボロッちい店に何の用だい?
そっちのお嬢ちゃんはともかく、あんたの方はこんな場所に興味があるとは思えないんだが」
「まァ、そォだな。とりあえずこの街で出くわした住人に話聞いていってンだ」
「へぇ、てことは私にも何か聞こうってことかい?」
「まァそォだな。……単刀直入に聞く。『11年前の桐条グループについて』だァ」
「ッ……。いや、私は何も知らないね。その頃はここいらには居なかったからね」
その時、一瞬の動揺を、一方通行は見逃さなかった。
と言っても、こっそり能力を使って擬似的に嘘発見器の様な事をしていたのだが。
―――ビンゴだ。
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