77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/06/05(日) 23:39:38.07 ID:/Kp9V7X1o
声が出ない。耳鳴りがする。
身体のあちこちがおかしい。
海原はどうせなら視界もおかしくなったからであるようにと願って一つ瞬きをするが、期待虚しく上条は訝しげな表情のまま、確かに目の前に立っていた。
「……お前、こんなところで何してんの?」
海原は驚愕した表情で、上条を見つめる。
どうして、などという疑問は意味がない。
いつ見つかってもおかしくなかった。
むしろ、二人が個室にいる間に足音を消して出ていった方が見つかる可能性は少なかったかも知れない。
どちらにせよ、現に海原は最後までその場を離れる事はなく、目の前に上条は存在する。
答えない海原を無理に問い詰める事はせず、上条はそばにあったゴミ箱へふと視線をやると、少し目を見開いた。
そこにはさっき捨てたハンカチが、ペーパータオルなどと一緒に丸まっていた。
普通破れたり酷く汚れたりしていない限り、ハンカチを捨てるという事はまず無い。
つまりは捨てるような事があったのだ。それも、他のゴミに埋もれない内に。
そして、上条たちはどれだけの時間何をしていて、この場所で最も新しい客は誰か。そしてその人物は、いつからいたのか。
まさかとは思ったが、上条は憶測を混ぜつつそこから一つの答えを導き出す。
すると怒っているのかいないのか、子供の悪戯を見つけたのを揶揄するようにニヤリと笑う。
「へえ、聴いてたんだ。さっきの」
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