過去ログ - 王様「ハハッ」 ほむら「・・・は?」
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[sage]
2011/06/02(木) 15:10:30.14 ID:L1z8LdJc0
まどかとさやかは欠席したマミを訪ねた。ほむらも誘ったが、辞謝されてしまった。さやかはこの機にほむらも仲間内に加えようと躍起になっているようだが、まどかは彼女ほど精力的にはなれなかった。・・・ほむらを思う行動をしようとすると、あのほむらの表情がちらつく。良かれと思ってしたことが、また彼女に対して裏目に出てしまうのではないか・・・そう考えると・・・彼女に対して踏み込むことが出来ない。薄氷に触れるようで、壊してしまうのが、怖かった。道中さやかに怪しまれたが、披露することは忍んだ。その代わり、彼女にほむらと親密になる気があるか訊ねた。
さやか「もちろん!」
はぐらかすつもりだったのだが、爛漫とした返事を聞くと、胸が漉かれたように憂いが落ちた。。
上条恭介の見舞いに行くということで、軽く一服すると、二人は退室した。マミは二人に明日は登校すると伝え、二人はその言葉を歓迎した。まどかはマミにも同じ質問をした。マミは苦笑いした。
マミ「・・・正直、解からないわ・・・彼女にその意思があるのなら、わたしも報いることは出来ると思うけど・・・」
二人の確執は一筋縄ではいかないのだと解かっていた。それでも、きっとほむらが皆と親しく出来る日が来るのだと、まどかは信じている。
マミ「それより二人とも。QB、知らない?」
まどか「いえ・・・わたしは知りません」
さやか「あたしも・・・どっかで女の子ひっかてんじゃないっすか?QBですし」
三人は笑って、別れを告げあった。
陽が眉を隠した頃合、マンションの入り口でさやかに別れを告げ、まどかは一人、帰路を進んでいた。一人になると、また憂鬱がこみあげてきた。足取りも重たい。そのうちに、陽は沈み、空には月が浮かび上がっていた。
まどか「・・・あれ?」
月光の下に浮かびあがった人の群れ。その中に、見知った姿があった。
まどか「仁美ちゃん!」
仁美「あら、まどかさん。ごきげんよう」
まどか「どうしたの?今日はお稽古じゃ・・・」
まどかは目を瞠った。仁美の首筋に痣がある。それは見知ったものだ――つい先日、その痣を持った女性が、自殺をしようとしていた。
まどか「魔女の口付け・・・どうして仁美ちゃんに・・・!」
仁美「ふふ。これから神聖な儀式があるというのに、そのような些事に現を抜かすだなんて無粋でしょう?良ければまどかさんも共にいらっしゃいませんこと?」
思えば仁美は厳格な家庭のしきたりで複数の稽古を強制されている。鬱積したそれらへの不満が、魔女を魅入らせたのだろう。仁美は笑みを浮かべてこそいるが、目は焦点があっておらず、声にも生気が虚ろだ。
まどか「――ま、マミさんに――」
仁美「まどかさん?一体何をしようとしていますの?」
仁美に腕を捻られ、携帯電話を落としてしまった。そのまま仁美は、まどかを尋常ではない力で牽いていく。まどかは仁美に離すよう懇願した。
仁美「神聖な儀式を妨げるのは愚の骨頂ですわ」
まどかは涙を流しながら、仁美の腕を剥がそうとした。しかし、まったくびくともしない。まるでコンクリートや鉄塊に腕を組み込まれたように、頑強にまどかを離してはくれない。そのまままどかは仁美や大勢と共にとある寂れた工場に来た。一つだけ置かれた椅子には悄然とした中年男性が座っており、その前にはバケツと、二種類の洗剤が置かれている。まどかの頭に、母から昔された警告が去来した。
まどか「駄目だよ!それを混ぜたら、此処に居る人たちみんな死んじゃうよぉ!」
仁美「それで良いのです」
まどか「え?」
仁美「・・・こんな窮屈な世界、いっそ消えてしまえば・・・」
仁美のその言葉に合わせて、皆が笑い始めた。段々と声は大きくなっていき、――やがて、それが笑っているのか、それともただ叫んでいるだけなのか解からなくなっていく。まどかは空いた手と肩で、耳を塞ぎ、その声を拒んだ。――自分は無力で、それがとてつもなく嫌になるときがある。それでも、この声に同調するほど、絶望してはいない・・・!
まどか「きゅ・・・キュウべ――キュウべえっ!!」
いっそのこと、自分が魔法少女になって、此処に居る全ての人たちを・・・救いたい!
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