1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/05/29(日) 13:03:42.41 ID:/Klnh+dQ0
静まり返った廊下に出て、自室のドアをそっと閉める。  
  蝶番が軋むわずかな音さえ気になって辺りを見回してしまう。  
  誰かの部屋から小さな咳払いが聞こえた。  
    
  忍び足で階下まで降りる。薄暗いロビーは少し怖い。  
  玄関脇の、警備員室の小窓から漏れる灯りに誘われるように近づいて  
  少し背を丸めて覗き込んだ。  
    
  「おはようございます」  
    
  「ああはい、おはようございます。はいはい秋山さんね」  
    
  初老の警備員さんは右耳からラジオ用のイヤフォンを引き抜くと  
  時間外の外出許可リストと私の顔を交互に見比べながら何度か頷いて、  
  気をつけて行ってらっしゃい、と目尻に深い皺を作った。
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/05/29(日) 13:04:11.46 ID:/Klnh+dQ0
 玄関のガラス扉を押し開けると、ひんやりとした外気が頬を撫でた。 
 5月といってもこの時間帯はまだ肌寒いはずなのだけれど、 
 前もって言われていた通りに厚着をしてきたのでかえって暑いくらいだ。 
  
 「上着はコンビニに行ってからでもよかったかな……」 
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/05/29(日) 13:05:48.35 ID:/Klnh+dQo
 「おはよ」 
  
 「おはよう。何してたの?」 
  
 「ん、走る前に足回りの点検をね」 
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/05/29(日) 13:07:11.80 ID:/Klnh+dQo
  
  
  
 ………… 
  
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/05/29(日) 13:08:22.70 ID:/Klnh+dQo
 「じゃ、そろそろ行くか」 
  
 「うん」 
  
 手渡されたヘルメットをぎこちなく被る私に気付いて、 
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