過去ログ - 一方通行「なァ木原くン。その楽園ではずっと一緒にいられるのか?」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage saga]
2011/05/29(日) 22:39:17.00 ID:ZZs8tIq1o
はっと気がついた瞬間、ノイズが一層強くなったような気がした。
それはまるで悪意をもって彼の思考を邪魔するかのようにジリジリと煩くわめき立てる。
だが不思議にも、今や彼の思考は周囲に蔓延るノイズとは反比例するかのようにクリアになっていた。
バラバラだった脳神経があるべきところに戻ってゆくように、明確なつながりを見せる。
まず自分の名前を思い出した。
否、名前だけではなかった。
自分という人間がいったいどのような道を進んできて、どのような人間になったのかさえ思い出した。
白昼夢のように流れ込んできた白のヴィジョンが、彼だけの現実を明確にしてゆく。
あの白が自分にとって持つ意味はそれほどまでに彼にとって深く根付いているのだ。
皮肉めいた笑みを浮かべて目の前に己の手を掲げる。
骨張って、硬質で、彼の意思で動く温かさの欠片もない手の平は当然のように彼の意思のままに動いていた。
今は見られない短く刈られた金色の毛髪も、左頬に彫られた入れ墨も、似合わないと自覚のある白衣も、
きっといつも通り自分という個体として存在しているのだろう。
そうだ。自分の名前は――。
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