過去ログ - 一方通行「なァ木原くン。その楽園ではずっと一緒にいられるのか?」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]
2011/05/29(日) 22:42:55.45 ID:ZZs8tIq1o


「……木原、数多」

確認するように呟いて、じっと手の平を見つめ続ける。
思うままに動くそれには傷一つ存在しなかった。

――自分は生きている?

何故か自分という存在に違和感を感じた気がした。
いや、違和感を感じるようなおかしなことは何もないはずだ。
頭を振って馬鹿馬鹿しい違和感をすぐに否定する。

木原には自分の命を落とした記憶などもちろんないし、これからもそんな予定はない。
そう、おかしいのはこの忌々しいノイズであって、木原自身ではない。

ふと、気がつく。
いつの間にか視界一杯に広がっていたノイズが全て消え去っていた。

嘘みたいにはっきりと見える自分の手の平の向こうに、薄汚れた灰色の床が見える。
現実感を伴うそれは確かに今木原が立っている床だった。
今まで感覚すらなかったはずの足裏に硬質な床の存在を確かに自覚する。

はっと顔を上げて、眩しい光が木原の瞳を焼いた。
やや横の広い長方形の光。
無数に立ち並ぶそれは先程までの木原の視界のように、時折テレビを走るノイズのようなものをその身に走らせていた。

――いや違う。これはそのものだ。

さらに邪魔するものがなくなってゆく視界の中で、徐々に木原は理解する。

そこは暗い部屋だった。



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