過去ログ - 僕(隣の席の転校生がウザい。ウザい)
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67:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga sage]
2011/12/09(金) 04:34:18.43 ID:6Owtuxeuo
 驚きと悲しみ、猫の表情にそれが見えたのは、僕の感受性が豊かだからだろうか。
 しかし、立場を置き換えて見れば、ピロの気持ちは分かる。
 素早く踵を返したピロの瞳から涙がこぼれた。ピロはそのまま二階へ駆け上がる。
 慌てて追いかける僕だが、猫の機敏な動きには到底追いつかない。
 ピロが自ら足を止めたのは、姉の部屋の窓枠の上だった。
 
僕「お、おいおい……いくら猫でも、二階から飛び降りたら……な?」

 飛び降りるとどうなるのか僕は言えずに、遠回しな言葉で説得する。
 言葉が通じている事は無いのだが、まるで人間の様に感情を表したピロにならと、説得を続ける。
 
僕「預かってるだけだし、別にお前は見捨てられた訳じゃないんだぞ」

 見捨てられた、の所でピロの身体が一瞬震えたのを、僕は見逃さなかった。
 付き合いは長いが、それは浅かった。
 この猫は、僕が思っている以上に賢く、繊細な心の持ち主なのではなかろうか。
 世話をしているのは姉さんで、その姉さんの膝の上か腕の中が定位置だったが……もう少しピロと深く関わって見たい。
 そんな思いも含めて、僕は手を伸ばす。

僕「戻っておいで、ピロ」

 ピロは悲しげな顔で振り返った。
 僕の言葉を姉さんの口から聞きたかったと言わんばかりに。
 窓の外へ身を投げ出す。
 取り押さえようと慌てて動かした身体は、窓枠に突っ掛った。
 慌てて目を閉じる。
 誰も、飼い猫が死ぬ瞬間なんて、見たくはないだろう。

 しばらく経って、僕はゆっくりと瞼を開いた。
 ピロは、僕を見上げていた。
 安堵の息を漏らす間もなく、小さな体は駆け出した。
 
姉「ピロ……」

 気付くと、姉さんが背後に立っていた。
 少しの怒りを込めて、僕は言う。

僕「……出て行っちゃったよ」

 姉さんは無言で部屋を出ようとする。
 その後を追う様に続ける。

僕「僕も探すよ」


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