456:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[saga]
2012/11/28(水) 15:57:44.87 ID:Hr5gflfAO
その増川の遥か後方、背後の空には、こちらへと飛んで来る黒い宝石が見えていた。
ダイレクトを振り上げる増川に向けて猛スピードで飛来しているが、増川はそれに気付いた様子は無い。
その無防備な背中で、宝石は爆発する……
そのすんでのところでステラが増川の背後に回り込んだ。
「!?」
増川が驚いて振り向く。
そしてステラから金色に光るシールドが展開され、その向こう側で眩いばかりの黒い爆発が起きた。
激しい爆音が響き渡り、光の奔流が辺りに溢れかえる。
「……はっはっはっ、隙を突いたのはいいけど、無駄だったね」
呆気に取られた様子でその光を見てから、増川は見下したように笑って見せた。
そして振り返り、改めてダイレクトを振り上げようとする。
が、
『DIRECT』
「そうですか?」
はやての落ち着いた声が増川の耳に入る。
振り返った増川の腹部を、黒く光るブレードが貫いた。上体を起こし、上げられたはやての右手からはダイレクトが伸びている。
増川は一瞬、わけが分からないという顔をはやてに向け、そして自分の腹を見下ろした。
そしてはやてのダイレクトが消えると、増川の腹からは黒い血液と、数枚のミダスマネーが吹き出した。
「……うぐほぉ!?」
驚いた表情と共に顔を痛みで歪ませ、その周りを吹き出した黒い紙幣が舞う。
リィンの攻撃は、ステラの防御を解くためのものに過ぎない。
ディール中逃げ続け、そして終盤に落とし穴に引っかかったのも、この一撃で決めるためのものだ。
―――終わった……決まったよ、高町さん
それは高町士郎が提案し、二人で計画したものだった。
増川が苦しげに膝をついて、うずくまる。
『CLOSING』
直後、甲高いブザー音と共にアナウンスが流れた。
それを聞いた途端、はやては安堵の息を吐いて、後ろに倒れ込んだ。
仰向けになり、崩落して穴の開いた通路から覗く、赤い空を仰ぐ。
「やった……」
呟いて、気の抜けた微笑みを浮かべる。
今回のバランスディールは、無事に成功を収めた。
それがなによりも嬉しく、それに気持ちのいい達成感もあった。
『YOU HAVE GAIN』
その手の中ではミダスカードが、無機質なアナウンスではやてに勝利を告げていた。
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