463:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/10(月) 19:57:53.70 ID:wCT+gIfAO
その様子を見かねたのか、ふと高町は今一度表情を引き締め直した。
「そうさ。……僕は断言する。
何も不安がることは無い、はやてちゃんはあのOLと根本的に違う。
ミダスマネーの魔力に呑み込まれているわけでもなければ、他人を傷付けることを楽しんでるわけでもないからね」
―――でも、確かに
高町の言うとおりのように思えた。
ディール中の自分は素直にあの緊迫感が楽しかっただけで、他人を傷付けることは相も変わらず好めることでは無い。
それにお金に対しても自分自身、そんなに執着があるわけでも無い。
―――高町さんの言うとおり、ただ思い込んどっただけやったんかな……
はやては口元をへの字にして、微妙な表情を形作って押し黙った。
そうやって金融街を見つめたまま思案に耽ていると、不意に高町が困ったように小さく笑った。
「……でも君はまだ偉いよ。そのことを溜め込まずに、ちゃんと口に出して言ったんだから」
苦笑しながら高町は言い、はやてもそれを聞いて、思わず小さく吹き出した。
―――そういう私のクセみたいなもん、高町さんには見抜かれとったんやっけ
直後に、そう言えば見抜かれていたどころか、高町には自分と同じような思考回路をした娘がいたということを思い出した。
『君はまだ偉いよ』という言葉を聞く辺りその娘もまだ、自分の中で問題や悩みを溜め込みがちなのだろう。
ふと高町が腕時計に目をやった。
「じゃあ、そろそろ僕は行くよ。お店の方にも戻らないといけないからね」
「そうですか……お話聞いてくれて、ありがとうございます」
「不安は解消されたかい?」
「まぁ、そうですね……」
はやてがはにかみながら曖昧な返事をすると、高町は微笑んで見せた。
「はやてちゃん、君が他人を憂う気持ちを忘れなければ、君は君のままでいられるよ」
「私は、私のままで……」
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