3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/06/05(日) 22:58:01.47 ID:Svq2uLgno
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漆黒。
意識を取り戻した私を包み込む世界は、そう形容されるべきものだった。
激しい頭痛を堪えながら、仰向けに横たわる体を後ろにひねる。
ともすれば自分自身すら見失ってしまいそうになる闇の中に、私以外の存在がもう一つ、目の前に。
まばたきを数回して、これが目の錯覚でないことを確かめる。
「まど、か」
「迎えに来たよ」
返される声はただただ懐かしく。
でもどこか、その響きに違和感を覚える。
最後の魔法少女となった自分。自分が事切れるこの時まで、彼女はどれだけの命を看取り続けてきたのだろう。
指摘することはできなかった。
そうしてまどかは、最後の仕事として私に両の手を伸ばす。
私の覚悟は、とっくに出来ていて、
「…………?」
力を振り絞り、その手を一度押し返す。
差し出されたその手に、預かり物を返すために。
「まどかのもの、だよ。 ありがとう」
返事はない。
ただ、下を向いていた手のひらが、上を向いて広げられる。
掌の中に、ふわりとリボンが舞い落ちる。
そして、時間が止まる。
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