過去ログ - 梓「最後の花火に今年もなったなー」
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26:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 22:58:22.71 ID:kTga5cfAO
わたしはこのままだと話が暗いほうに転がりそうだぞ、と思ったのでわざと言った。「だって、‘ごはんはおかず’ですよ」
ぷぷっ、とわたしは笑う。
「わらわないでよっ!あずにゃんのバカぁー」
唯先輩は意味も流れもなく、抱きついてくる。
27:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:03:01.94 ID:kTga5cfAO
思い返せば、唯先輩はことあるごとに抱きついてきた。それはちょうど某大国が何かと理由をつけて、どんどん他の国に軍隊を派遣していくのと似ていた。その理由は朝がきたからだったり、カラスがいたからだったり、なんでもありだった。わたしも口では「やめてくださいよ」なんて言ったりしていたが、嫌な気はしていなかった。
ただ、人前でも変わらず抱きついてくるのは恥ずかしかった。観客なんかも面白がって、口笛を吹いたり、歓声をあげたりするから困る。一度なんかはほっぺたにキスをされたこともあった。さすがにやりすぎだと思う。もう一回してくれないかなーと思ったりもしていたんだけどね。
28:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:06:37.20 ID:kTga5cfAO
唯先輩はよく自分が行った場所の話をしてくれた。わたしがその話を聞くのは大抵、2人で星をみあげながらアイスを食べているときだった。
わたしたちは毎日のようにそうしたのだけれど、唯先輩の話は尽きることなく、それでいて面白かった。例えば、それは、海で演奏していたら蟹に足を挟まれた話だったり、雪が3メートルも積もった町の話だったりした。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2011/06/12(日) 23:12:21.36 ID:7L7+bVm/o
何年経っても思い出してしまうなー
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/06/12(日) 23:16:12.56 ID:gl/7/hbSO
>>22
上から目線で物言うなボケ
>>1に失礼だろ
31:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:23:36.27 ID:kTga5cfAO
唯先輩はよく自分が行った場所の話をしてくれた。わたしがその話を聞くのは大抵、2人で星をみあげながらアイスを食べているときだった。
わたしたちは毎日のようにそうしたのだけれど、唯先輩の話は尽きることなく、それでいて面白かった。例えば、それは、海で演奏していたら蟹に足を挟まれた話だったり、雪が3メートルも積もった町の話だったりした。
32:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:25:21.83 ID:kTga5cfAO
だから、あの日もわたしたちは唯先輩が最近行った町の話をしていた。
「それでね、その町で花火大会があったんだけど…」
「…花火って何ですか?」
33:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:26:57.86 ID:kTga5cfAO
「だから、花火って何ですか」
「花火っていうのはねー」
唯先輩は花火を思い出しているのか、目をつぶり、少しして言った。
34:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:29:40.91 ID:kTga5cfAO
「唯先輩はいつから、そうやっていろんなところを旅してるんですか?」
「うーん、よくおぼえてないけど15歳くらいじゃないかな」
「すごいですね」
「そんなことないよ。これがわたしには普通だったし」
35:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:30:25.56 ID:kTga5cfAO
「唯先輩はいつから、そうやっていろんなところを旅してるんですか?」
「うーん、よくおぼえてないけど15歳くらいじゃないかな」
「すごいですね」
「そんなことないよ。これがわたしには普通だったし」
36:名無しNIPPER[sage]
2011/06/12(日) 23:31:40.35 ID:kTga5cfAO
「ときどき、ひどく寂しくなるんですよ」わたしはぽつりと話はじめる。
「誰もいなくて、それなのに誰かが消えてしまいそうで……唯先輩にはそういう時、ないですか?」
唯先輩はちょっと首をかしげて言う。
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