過去ログ - 天子「どうせ私なんか、術もアニマもない、人間のクズなのよ!」
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18: ◆ABsCEpS5PQ[saga]
2011/06/13(月) 21:06:56.17 ID:tIjaTx+e0
☆妖夢side

小部屋の奥、暗がりに揺れる陰──誰だ、あれは。
白骨で構成された体からは、異形──四本の腕が生え、それぞれが武器を構えている。

スケルトンだ。

私が知っている二本腕のものとは違う、蒼いスケルトン。
今はこちらに背を向けているソレから逃げ出すことは容易だろう。
しかし、その更に奥には四角い箱のような物が見える。

……あれが、クヴェルだったら。
……あれは、クヴェルなのではないか。

期待が高まる。
それに、あんなにも威圧的で、攻撃的な姿をしたモンスターが箱の前に陣取っているのだ。
地上にあった多くの箱のように他の冒険者が既に中身を取り出していた、という可能性も低いのではないか。
そんな思いで私はスケルトンの背中を見つめていた。

──ふと、私は自分の違和感に気付く。

胸が高鳴っている。気分が高揚している。

……初のクヴェル入手に対する期待。
……仲間の称賛に対する期待。

それもそうだ、だがそうじゃない。
それより、何より。

目の前のアイツと戦いたくて仕方ない。

敵が強ければ強い程燃えるというわけにもいかない、と先程言った。
言った筈だ。
確かにそう思っていたが、あれは結果的に嘘だった。

先程から私の脳内で繰り返される戦闘、勝利のシミュレーション。
週刊ディガーに掲載されていた戦法、父から受け継いだ技、叔母から授かった知識……。
私は目の前の強敵相手に、それを試したくて仕方がなかった。
私の実力を、誰より自分自身に証明しなければならない。
そう思った。
先程のように逃げ腰になってしまわないためにも。

私は武者震いの止まらない手で武器を握る。
右手に鋼の短剣を、左手に氷晶の杖を。

両手の武器で戦う?
いいや、違うね。
私は今からアニマを使う。
ともすれば右のコレは、邪魔だ。



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