13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2011/06/26(日) 16:03:31.50 ID:BD9wf7ABo
流木の破片を避けながらさくさく砂を鳴らして波打ち際まで行き、紬はおそるおそる波に足をひたす。
「つめたい!」
嬉しそうに紬が言うと、梓も靴を脱いで足を出した。
砂の中に足を埋もれさせて、よせてかえす波の動きを感じているうち、動いているのは波ではなくて自分の足のような気がした。
その錯覚のすぐ後、やはり波が動いているという感覚。
かかとの周りに砂がひっかかって積もる。
時折、大きな波がくるとひざ下まで濡れて、そのたびに二人はうれしくなった。
裸足で砂を踏みつけ、水を蹴り上げ、しぶきが顔にかかるとことさらによろこんだ。
波から逃げて、波を追いかけ、手で水をすくってまき散らして、声を上げる。
梓の目に紬の金髪が空に溶け出すように映り、紬の目には波打ち際の濡れた砂と梓の黒髪が重なって見えた。
身体を日に晒しながら海水に冷やされて汗を気化させていると、水彩画の中にいるように輪郭が薄く透けていく気がした。
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