過去ログ - パイルドライバー
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2011/06/26(日) 16:01:44.91 ID:BD9wf7ABo
階段を上りきると、ぼっという音と共に髪が風になびいた。
人影はほとんどなく、犬の散歩をしている人、カイトをあげている人がいる程度の静かな浜辺。
カモメすらいなかった。
営々と築かれた雲と白い砂、蒼穹の空と海面が広々と並存し、そのパノラマの間に入るはうねった形状の小さな岬。
「わ……」
二人同時に小さく声を上げた。
体積のある風がばたばたと鳴る。

「叫んだらやまびこ聞こえる?」
「山だからやまびこなんじゃないですか?ここ、海ですし」
それでも紬はやってみたそうな顔をしていたので、梓はひとつ咳払いをしてから「せーの」と声をかけた。

「わーーーっ」

声は風に押し返されただけで反響しなかった。

顔を見合わせた後、一段一段、トントンと階段をおりた。
靴の裏から砂の柔らかい感触が伝わる。
「サンダル脱いじゃったほうがいいですよ」
歩くのが少しずつ早くなって、辛くなった紬に梓が促す。
「うん」
サンダルを脱いで指先に引っ掛けるように持つと、紬は梓を引っ張りながら軽くなった足で小走りになった。



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