過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
1- 20
856: ◆nW2JZrx2Lo[saga]
2012/02/21(火) 04:19:46.13 ID:FWHujRcko

「──くっ、ふふっ、やはり『原典』の使用は、大きな負担がかかりますね……」

 彼以外に生きているもののいなくなった空間で、腰を下ろし壁に寄りかかりながら海原は呟く。
頭の先から爪先までを貫く激痛。『原典』の知識による汚染は術者に絶え間ない苦痛を与える。

本来ならば、『原典』はもしもの時の防御に使って終わりにするはずだった。
しかし、彼らの話を聞いているうちに怒りが湧き上がり、どうしても惨たらしく殺してやりたい衝動に襲われてしまった。
その結果が、この虐殺劇。

美琴を影ながら守る騎士か何かを気取っているつもりなどない。
「彼女のために」という大義名分を掲げることすら許されぬ所業だと言うのはちゃんと自覚している。

けれど、今殺した研究員たちのような存在はどうしても許せなかった。
彼らが起こした罪を、もっとも非道な形で跳ね返らせてやりたかった。

「……大暴れした以上、ここにもいつまでもいられませんね。移動しなければ」

 彼が働きを十二分にこなせば、それだけ『グループ』が動きやすくなる。
つまりは、美琴がそれだけ早く日常へと帰っていける。
それだけを目的に海原は今ここにいる。

痛む頭を振ってごまかし、彼に与えられた任務をこなすべく立ち上がった。
後には、原型を留めない頭部から脳漿を撒き散らしたいくつかの死体と、彼らが垂れ流した血の海だけが残された。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/744.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice