過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
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887: ◆nW2JZrx2Lo[saga]
2012/03/10(土) 04:14:50.60 ID:fiKeJx/Ho

 強さを求めて戦って、後に残るのは自分か相手の骸だけ。他には何も残らない。
最終的には自分以外のすべての存在を叩き潰すか、あるいは夢半ばにして自分も死体の山の一部となるのか。末路はそのどちらかしかない。

特大の悲劇を引き起こした大馬鹿が、悲劇を引き起こしかねない馬鹿へと諭すように言う。

「悪いことは言わねェよ。オマエを光の世界に引き上げよォとする人間がいるうちに、さっさと足を洗え。
 そのほうがきっと、オマエにとっても『しあわせ』になれるはずだ」


 しばらく、『油性兵装』は一方通行の言葉を吟味するように黙りこくっていた。
今のように血と汚泥にまみれて闇の底を這いずり回る人生を送るのか。
それとも、未だ体験した事のない光の当たる世界へと飛び出して行くのか。
やがて、その口を開く。

「……ふー、何を言い出すのかと思えば、今更そんな綺麗事かよー。
 確かに足を洗えば『しあわせ』にはなれるかもしれない。けれど、馴染めずにまた堕ちてくる奴だっているんだぜ?
 一度『しあわせ』を味わってしまえば、また暗部に落ちてきた時の苦しみはなお増える。なら、最初から知らない方がマシ」

「オマエは二度と落ちてきやしねェよ」

 憧れがある。期待もある。だが、戻ってきてしまうのが怖い。さきほどの無言にはそんな逡巡が含まれている。
結局は彼女だって、学園都市の暗部の被害者なのだ。また落下することが怖くて、這い上がることができなかったに過ぎない。

「落ちてくる先は、俺が埋め立てておいてやる」

 そんな被害者たちはもう二度と生みださせない、と彼は心に決めている。
ならば、目の前の少女だって救い出すべきだ。
だが、



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