908:SSS ◆5pbDteB19s[saga]
2013/02/22(金) 00:20:39.44 ID:plWmnaWt0
コーちゃんを抱えた一方通行が向かったのは、やはり例のカエル顔のお医者さんのいる病院だった。
病院に着くと、まるでそうなることがわかっていたかのように用意されていた担架に、コーちゃんを乗せて、あとを看護師さんに任せた。
それにわずかに遅れ、自身の診察室から出てきたカエル顔のお医者さんは、いくつかのことを一方通行さんと話すと私に近づいてきた。
冥土返し「彼女のことは心配いらないよ。必ず元に戻してみせる」
佐天「あ、あの……」
冥土返し「どうしたんだい?」
佐天「コーちゃんは、普通のケガじゃなくて……、ええと―――」
冥土返し「急に人が変わったようになったんだろう?」
その言葉に、私は驚いた。
気絶しているにもかかわらず、今、コーちゃんがどうなっているのかがわかった?
いや、それも違う。
このお医者さんは、変わったあとのコーちゃんまだを見ていないはずだ。
それに、都合よく担架が用意されていたことも気になる。
つまり、こうなることを知っていた?
そんな考えが、一瞬頭をよぎったが、今重要なのはそんな些細なことじゃない。
コーちゃんが元に戻るのかどうかだ。
いくらこのお医者さんが凄腕でも、あんな風になってしまったコーちゃんを治すことなんてできるのだろうか?
冥土返し「そんなに心配をしないでも、大丈夫だ」
佐天「え?」
まるで、私の思考を読まれたかのように告げられた一言。
その一言に、いつのまにか下を向いていた顔を上げて、カエル顔のお医者さんを視界に捉える。
そこには、自信に満ちた表情を浮かべる医者が立っていた。
そして、彼が広げた手の平にはいくつかの機械の塊、―――樹形図の設計者の破片が収まっていた。
冥土返し「彼女は助かるよ。彼が持ち帰ってくれた『これ』があればね」
その後のことは、おおよそのことしか分かっていない。
コーちゃんが大きな機械に入れられたということ。
そして、その調整には、数日がかかるということ。
私の骨折が、全治3ヶ月で済んだということ。
骨折の治療をしているときに耳にした、「ウイルスだけを削除」という言葉だけが、いやに頭に残っている。
おそらく、なんらかの原因でコーちゃんにウイルスが侵入し、人が変わったかのような症状がでたのだろう。
そして、その治療のために、樹形図の設計者の一部が使われたはずだ。
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