過去ログ - さだのり「桜は散る、陽は沈む・・・そして、思い出はいつかは消える」
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738: ◆G2uuPnv9Q.[sage saga]
2012/06/07(木) 19:00:55.23 ID:LgI5FH0d0

(あぁ…短い人生だったなぁ…)

兵士は、瓦礫と共に地面に落ちていく

横では、既に事切れた友人が瓦礫よりも速く、地面へと向かっていた

(…でも…悪くはなかったよなぁ、邪火流隊長…)

凄まじい衝撃に、頭を揺られる

どうやら、地面に落ちたのだ、どうやら、と言ったのは彼にはもうそれを判断する余裕もないからだ

(…邪火流隊長…後のことは任せました…厄介なあの男は、もう…)

その時だった、兵士の視界はすでに横を見ていて…これは兵士の首が横を勝手に向いていたからだが…しかし、その視界のどこにもあの男の姿はなかったのだ

(…俺達よりも…瓦礫に多く巻き込まれたか…?)

首を動かす体力もない、もしかしたらあの男は今頃瓦礫の下でペシャンコになっているかもしれないのだ

それを確認できないのは、少しだけ悔しい

(…ごめんなさい、邪火流隊長…俺は、やっぱり誰かを殺してしまった…)

あの隊長なら、きっともっと上手い方法を使ってこの場を切り抜けただろう

そんなことが出来ない自分は、まだ




トンという、着地音のようなものはなんだったのか



(…!?)

横を向いていた兵士の視界に、誰かの靴の先が映った

軍隊の制服ではないそれは、あの男の…



「危ない危ない」

「おま…え…」

「いい判断だった、ビルの崩壊に俺を巻き込もうってのは賢明な判断だった、そしてそれを実行するのは見上げた勇気だった」

そして、それが失敗したのは残酷な不運だ、と

「鎖鎌ってのはなぁ、非常に便利なもんだ、よく映画のCGとかで見るだろぉ?高いところから落ちた主人公が壁に刀を突き刺して、間一髪助かるっていう…ありゃあなんの映画だったかなぁ、とにかく落下の衝撃を無くすのさ、やってみるもんだなぁ」

男の鎖鎌の刃には、土埃のようなものが付いている

兵士には、それが確認できないが



「…とりあえず、作戦失敗、残念でした」

兵士が何かを言おう、としたときにはもう、刃がその首を切り落としていた







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