過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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146:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/17(日) 21:31:15.19 ID:3guX2yCAO
〜16〜

御坂「痛たたた……よくもやってくれたわね。痕残ったらどうすんのよ」

受け皿のようにした掌よりすくう牛乳風呂の白い湯が、開いた指の先から股にかけてトロトロと流れ行く。
それを引っかかれた肩口に注ぎ、塗り込むようにさする華奢な二の腕。
かけた湯が薄く窪んだ鎖骨に溜まり、音もなく小振りな胸を濡らす。

御坂「本当に乱暴な女……もう山猫ね山猫。ヒリヒリするったらありゃしない」

美少女と美少年の狭間にある、少女から女への過度期にあるシャープな輪郭を伝う汗。
濛々と浴室内に立ち込める湯気に、前髪が張り付いた額をあげるようにして御坂は猫足バスタブの中より天井を仰ぎ見る。
湯船から顔を出す可愛らしい膝小僧を伸ばし、バスタブの縁に肘を置いて頬杖をついた姿勢で。

御坂「(やっぱりアイツがあの女のどこを好きになったか全然わかんない)」

特濃・成分無調整のムサシノ牛乳によって埋められた湯。ややもすると少しぬるく感じられるそれ。
神代の頃よりクレオパトラが愛用していた牛乳風呂の、自身の体温より三度ほど高い湯の中御坂は思いを巡らせる。
効能は肌理細やかな肌を生み出す美容と、不眠症の改善。そしてそれを必要とする――
つい先程まで取っ組み合いの喧嘩をした麦野沈利という人間とに。

御坂「(何であんなヤツ……)」

白薔薇の花片を浮かべたような湯に口元まで身を沈めながら御坂は心中にてボヤく。
自分がもし男だったならあんな女頼まれたって願い下げよ!と。
もちろん御坂とて麦野が上条と、それ以外の人間に接する事細かな差異を理解している。例えば――

御坂「(私だって……)」

例えば麦野は、御坂とインデックス以外の女性の名前を決して呼ばない。
そして会話の輪には加わり、合いの手は入れるが誰かに語り掛ける事がない。
表面上はあまり気がつかないが、顔を何度か合わせる内に気づいたのだ。
それを知った時、御坂は空恐ろしいものが身体に走るのを感じた。

御坂「(アイツと……)」

例えば麦野は、上条を『かーみじょう』と呼ぶ時は巫山戯けたりからかうゆとりがある時である。
『当麻』と呼ぶ時の言葉に偽りはないと感じられる。
そう――あの女は、自ら作り上げたこだわりというより……
ある種のルールを己に課しているように感じられるのだ。
上条と自分とそれ以外の人間に対する折り合いのように。




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