過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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170:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/19(火) 21:10:08.61 ID:5HPWMU5AO
〜7〜

麦野「……何の真似だテメエ」

御坂「相手の顔見えないヤツとは話したくないんでしょ?あんたが私の目線まで下がって来れないなら私が上がるしかないじゃない。こんな風に」

麦野が身構えるより早く――御坂がその後頭部を麦野の膝上に乗せた。
もちろん麦野とて顔が見えない云々を言及していては『電話の女』との連絡だって取れなかったであろう。
御坂も放言だとわかっているから敢えて取り合わない。

御坂「……あんたがどんな世界で生きて来たか、どうやってアイツと出会ったかとか、はっきりと聞いた事はないけど……」

麦野「………………」

御坂「それに引け目だとか負い目だとか持って、勝手に一人で線引きしないでよ。何だかそう言うの、見てて悲しくなるから」

麦野「お説教?お説法?お節介?」

御坂「そんなんじゃない!勿体無いって言ってるの!!」

御坂は見抜いている。前々から薄々と当たりを付けていた自分の考えが……
この麦野と二人きりと言う時間と空間の中で、窓辺より射し込む幻暈の燐光のように朧気な疑問が確信へと。
気位の高い麦野に対して上から目線と言うのは逆効果と思われるが実は違う。
目線を上にして実はやっと対等なのだ。何故なら彼女は高足の椅子の子供で、御坂は架け梯子の子供だから。

御坂「こんな言い方私にされるの嫌だろうけど――あんた、本当に優しくなったわ。出会った頃とまるで別人。それが今日一日ではっきりよくわかった」

麦野「テメエに私の何がわかる?」

御坂「わかるわよ。大好きなアイツの側にいて、大嫌いなはずの私までこうしてくれてる。あんたがどれだけ“イイヤツ”とか“イイコト”に高いハードル上げてんだか知らないけど……もうあんたは、私の中でただ嫌いな悪人になんて括れない」

麦野「………………」

御坂「あんたはそれをぬるま湯の中で弱くなったって思ってるでしょ?優しい時間の中で甘くなったって思ってるでしょ?だからひとりになろうとする。悪ぶろうとするのよ。だから」

そして麦野は御坂の語るがままに耳を傾ける……
常のように鼻であしらい笑い飛ばす事も、腰を折り水を差す事もしない。

御坂「――勝敗とか生死とか善悪とか強弱とか敵味方とかそういうわかりやすい“力”を取り戻そうって必死に足掻いてるの……わかるよ。私にはわかるよ麦野さん」

何故ならば

御坂「――私も、あんたと同じレベル5(超能力者)だから―――」




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