過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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作者
◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/07/21(木) 20:49:14.66 ID:7OOgLsNAO
〜4〜
フレメア「うーん……うーん……」
時は遡る事数時間前、美女と野獣と悪漢の奇妙な巡り合わせは何の変哲もないコンビニエンスストアにて収束した。
皓々と照らす蛍光灯の人工的な光が夜の帳に抗うように瞬き、スイーツコーナーでおとがいに人差し指を添えてうんうんと唸るフレメア。
その背後にて両脇を固めるは駒場と垣根であり、片や呆れ顔、片やその強面を渋面を浮かべて並び立つ。
フレメア「モンブランにしようかな……ショートケーキにしようかな……うーん」
垣根「なんだ、悩むくれえなら両方買っちまえよ」
フレメア「ダメ。大体、さっき悪いお兄ちゃんとご飯食べたから一つしか入らないよ」
駒場「………………」
フレメア「ねえねえ駒場のお兄ちゃん?」
駒場「……うん?」
フレメア「モンブランとショートケーキ、大体どっちがいいと思う?」
そこでフレメアがモンブランとストロベリーショートケーキの二つを背伸びして駒場に見せた。
180センチを越える垣根をして頭一つ抜きん出た駒場とフレメアの身長差はまさに大人と子供のそれである。
結局どちらかを決めきれず、右手に苺左手に栗のスイーツを掲げてフレメアは迫る。
それこそ砂糖菓子のような笑みを湛えてニッコリと
駒場「……俺が決めるのか?」
フレメア「うん!どっちも決められないからお兄ちゃんに選んで欲しいの!」
垣根「……おーい?金髪の嬢ちゃん?」
フレメア「?」
垣根「二つとも選んで、片っぽ兄ちゃんにくれよ。そうすりゃ一口ずつだって食えんだろ」ニコッ
フレメア「ねえねえお駒場の兄ちゃん駒場のお兄ちゃん早く早く!」ピョンピョン
垣根「(……泣いてねえ、泣いてねえぞ!!)」グスン
『あなたなら私が本当に食べたい方を選んでくれるよね?』と言わんばかりに輝くフレメアの瞳に垣根は映っていない。
小さくとも女は女であり、女とは女に生まれるのではなく女になるのだ……
と言う引用を諳んじるまでもなく垣根の意見と存在と笑顔は無視された。
『男は顔ではない』と言うのは真実の一端を締めているのだ。間違いなく。
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