過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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209:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/21(木) 20:52:06.48 ID:7OOgLsNAO
〜5〜

駒場「……そうか、ならば」チラッ

フレメア「?……//////」

そこで駒場が見下ろしたのは、フレメアの服装だった。
ワインレッドのタイツにベレー帽、ピンクとホワイトを基調とした可愛らしい姿。
そこでフレメアの手にもたれたモンブランとショートケーキを改めて見やり――そして選ぶ。

駒場「――苺の方だ」

フレメア「うんっ!」

垣根「(クソッタレ)」

付き合い切れるか、と言った表情で垣根は店内をぐるりと見渡す。
深夜のためか一人しかいない店員、まばらな客しかいない店内。
傍らには巨漢と幼女、そして自分は連れる女もいない手持ち無沙汰。如何せんして所在ない心持ちである。

垣根「さーて俺はどうすっかなー……ん」

そこで垣根はドリンクコーナーへと足を運び、迷う事なくRootsのアロマブラックを手に取る。
垣根はフレメアのように二つある中から一つを選ぶ事はしない。
二つあれば二つ、ダメならどちらも選ばない。
右にパン、左に肉、選べと迫られればどちらにも口をつけず飢えて死ぬべき、それが『自由』だと言うダンテのそれに習う訳ではないが――

駒場「……それだけでいいのか?」

垣根「いいんだよこれだけで」

フレメア「また苦いの飲むの?それが人生の味だから?」

垣根「ちげえ。単に甘ったるいもんにやられたからスッキリしてえんだよ」

フレメア「?」

垣根「(お前らの事だよ!)」

わかりきった事ではあるが、人間は二本の腕しか持てない。
その中に収まり切らない何かを欲するとすればもう背に負う事しか出来ないのだ。
子供とは無垢な貪欲さを生まれながらに持ち合わせている。
可能性、と言い換える事も出来るだろう。それに垣根は目を細めた。

垣根「(いつからだろうなあ)」

ケーキを欲さなくなり、砂糖の味もわからなくなるような殺戮の暴風の中を駆け抜けて来たのは。
この秋空に瞬く星のように、ありふれた悲劇に心を砕かれ闇に堕ちた幼年期の終わり。
子供の瞳には不思議な力があり、時に鏡に映った自分を見るような気持ちにさせられる。迷いの具である。

垣根「……やっぱこれも貰うわ。いいか?」

駒場「……構わない」

垣根「たまには悪くねえか、こういうのも。ほれ」

フレメア「はーい!」ガサッ

垣根がスイーツコーナーから取り出したのは、モンブランだった。


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