過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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216:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/21(木) 21:00:18.02 ID:7OOgLsNAO
〜12〜

垣根「さて、食うとするかモンブラン」

駒場「………………」ムシャムシャ

フレメア「美味しい、にゃあ」

駒場「……にゃあ?」

争いと言うものは始める事は容易く収める事はひどく難しい。
駒場もまた、多くのスキルアウトがそうだったように最初は居場所が欲しくて路地裏の住人となったのかも知れない。

垣根「おい!!」

フレメア「一口は大体、一口だよ?」

垣根「このガキ!その一口がマロングラッセたあどういう了見だ!!イチゴよこせ!」

フレメア「や」パクッ

垣根「くぅぉんのガキがァァァァァ!!」

駒場「(……子供が二人いる)」

混ざれなかった椅子取りゲーム、入れてもらえないフルーツバスケット。
自分達の居場所を作る事が、いつしか違う誰かの居場所とぶつかる事になる。
最初は、ただ居場所が欲しかった。能力者が憎かった。それは駒場の中で恐らく今も変わらない原点である。

垣根「そこは割り算だ」

フレメア「こう?」カキカキ

垣根「そうだ」

駒場「(……真面目にやっているな)」

学校を離れてからの方が増えた『宿題』は膨大だ。
難問揃いの上、選択肢はひどく狭く、制限時間はとても短い。
解答は一つとは限らないし、何より正誤の判断をする教師すらいないのだから。

フレメア「駒場のお兄ちゃん〜〜」スリスリ

駒場「むう……」チラッ

垣根「(こっち見んな。お前ら二人の時間だろうが)」

スプーンすら曲げられない自分に気づいた時、一つの世界が閉じたように感じられた者達。
閉じた目蓋の中で恐らくは誰しもが一度は能力を使える違った未来の自分を想像したであろう。
しかしそうはならなかった。ならなかったのだ。

フレメア「あのねあのね……今日ね、学校でね」

駒場「……うん、うん」

垣根「(眠い……)」

辿り着いた先……この夜に浮かぶ月明かりよりも小さく温い灯火。
駒場が無能力者狩りを止めようと、ある種の踏ん切りないし覚悟が定まったのは――
この膝の上に乗った、ランドセルを背負ったシンデレラのおかげなのかも知れない。

フレメア「……スー……スー…」

垣根「(寝るなよ。家わかんねーだろ)」

駒場「(……そろそろ戻らねば……な)」

たとえヒーローになれなくとも――駒場利徳には、守りたい世界が、小さな世界があったのかも知れない――


そう、この柔らかな月明かり降り注ぐ優しい夜の下で――




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