過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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217:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/21(木) 21:03:05.21 ID:7OOgLsNAO
〜13〜

フレメア「……ん〜〜」

垣根「大丈夫かコイツ」

駒場「……もう12時近いからな。無理もない」

フレメア「やだ……まだ大体大丈夫……駒場のお兄ちゃんといる」ギュッ

そして――別れの時。ほとんど眠りかけているフレメアはそれでも駒場の腕にしがみついて離れなかった。
垣根はそれを呆れ顔で見やり、駒場が困ったように笑う。
フレメアの手は小さい。駒場のジャケットを掴む手も弱々しい。

駒場「……また、今度な」

フレメア「……今度って、大体いつ?」

駒場「……わからない」

垣根「………………」

この時、駒場と垣根は心を一つにしていた。恐らくその今度は永久に来ない事を。
この別れが永遠のものになるであろうと。それは路地裏の影に住む帝王と学園都市の闇に棲む皇帝の共通認識であった。

フレメア「……じゃあ、約束、して?」

駒場「………………」

フレメア「一緒に、クリスマス、サンタさんに、プレゼント、お願いするの……一緒に、靴下つるして……」

垣根「………………」

フレメア「駒場のお兄ちゃんと……一緒にクリスマス……したいから」

駒場は、月夜を見上げた。垣根は月影を見下ろした。フレメアは真っ直ぐ駒場を見ていた。
そして――駒場はゆっくりと顔を下ろし、垣根もゆっくりと顔を上げた。

駒場「……約束だ」

フレメア「……うん――……」

そしてフレメアは安堵したように瞳を閉じた。
最後に映った――駒場の笑顔に安心しきったように。
駒場は苦手な酒が無性に飲みたくなり、垣根は今煙草を吸っても恐らく不味いだろうと感じた。

駒場「頼む」

垣根「ああ」

男二人に、交わす言葉は最早ない。かける言葉はいらない。
声にも出さない。フレメアが起きるからだ。幻想(ゆめ)から覚めてしまうからだ。
別れとは告げるものでも告げられるものでもなく、己自身に語り掛けるものなのだから。

バサッ……

駒場「………―――」

垣根「―――………」

フレメアを背負い、満月の中羽ばたく垣根。それを見上げる駒場。
翼ある者と翼なき者。無能力者と超能力者。その垣根が一時取り払われたように



駒場「……さらばだ、フレメア=セイヴェルン――」



きっとこの瞬間


垣根「………………――――――」



少年は、永遠を願った―――




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