過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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280:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/29(金) 21:02:20.65 ID:0s0AWUMAO
〜1〜

少年C「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

――少年は根城にしていた、今はもう稼働していない工場の一室に必死に逃げ込んでいた。
無能力者狩りの仲間との集合場所と、さらって来た無能力者を連れ込み嬲るための処刑場であった。
黴臭く埃っぽく、当たらない陽射しがとこどころから破れた窓より薄暗い闇の中に降り注いでいる。
工場内にはもう少年以外『誰も』動ける人間などいない。それもそのはず――

「――クソッタレが」

カツン、カツンと杖を突く音だけがまるでこの処刑場の執行人のように耳障りな足音を立てる。
その少年のホワイトヘアーだけがこの暗闇の中不気味なまでに鈍い輝きを放っており……
たった今も少年の頬に飛び散った仲間の血を塗り固めたそれよりも赤く紅く朱く――

「今日は燃えるゴミの日だったなァ」

少年C「あ……ああ……あああ」

「――これでオマエらの足りねえ頭でもわかったか?たかがレベル4が関の山の“能力”なンざ、本物のレベル5の“暴力”の前にクソの役にも立ちゃしねェって事が」

カツン、と工場内の事務机の下に隠れていた少年の前にその杖を突いた白い悪魔が立ちふさがった。
抜けた腰、笑う膝、鳴る歯の噛み合わせ、その全てを――
その白い悪魔はつまらなさそうにくだらなさそうに不愉快そうに見下ろし――そして言った。

「これならその俺に楯突いて来たあの“三下”と今朝の“無能力者”の方がまだしも見れたもンだぜ」

少年C「た、助けてくれ!!俺はもうあんたと戦うつもりなんてねえ!あんたとやるつもりなんてもうねえんだ!」

自分はどこから間違えた?仲間の内一人は昨日の騒ぎで再逮捕された。
もう一人は交差点で事故死した。やっと、やっとあの『青い髪の男』を振り切って逃げ仰せたはずだと――

少年C「助っ」

ガウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

少年C「―――………」

「悪ィ。五月蝿くて聞こえねェんだ」

その白い悪魔は、命乞いの言葉から末魔の声までその銃声で断ち切った。
しかしその悪魔はたった今事切れた少年にもはや一瞥すら寄越さず、血塗れになった二台目の携帯電話を操作する。
その画面には『無能力者襲撃・要注意人物』と表示されていた。

「あと三十人か……長ェサービス残業になりそうだなァ?」

少年もまた、逃れえぬ死の報いを受ける事となった。自らの業(カルマ)に身を滅ぼして――


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