過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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302:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/29(金) 21:32:58.68 ID:0s0AWUMAO
〜20〜

ひだまりの中浸かるぬるま湯で、指先までふやけそうになる。
全身の血液が氷水にとって代わる殺しの感覚からも、脳が熱湯のように煮えたぎる戦いの感覚とも違うこの場所。
上条当麻のいる世界、インデックスのいる場所、私の立ち位置。

上条「シャケもいいんだけど、梅干しオニギリも食って見たかったなー」チラッ

禁書目録「だ、ダメなんだよそんな顔しても!!」

上条「じゃあ代わりにおでんの汁くれよインデックス。何か美味そうだ」

禁書目録「いーや!!」べー

きっと、この世界を拒絶したりこの時間を否定したりするのは簡単よ。
だけど――それに代わる何かが私の中にあるかって言えば、きっと何もないわ。

上条「インデックスはケチだなあ……昨日ラーメンやったのに……あ゛」

麦野「かーみじょう……インデックスに夜食禁止って言ってんのにあんたから進んで食べさせるとかこんな示しのつかない話もないわよねえー?」

上条「ぐぬぬぬ……やっ、やったのはオレだ!!」

麦野「いやだからもうバレバレだっての」

――ここには、レベル5(超能力者)じゃない私がいる。
どこを探しても見つからなかった私が、この無能力者と魔術が使えない魔術師の中にいる。
一つのベンチに座って、おでんの汁を取り合ったりオニギリ摘んだりコーヒー飲んだり……
変な意味だけど、こいつらとの目線は私と同じなんだ。
アイテムという部下を率いていた頃の肩肘を張るという事もなく……
同じレベル5の御坂との間柄のように啀み合うでもなく。

私はレベル5だ。そうやって生きて来た。誰かに疎んじられる事はあっても軽んじられる事はなかった。
それを嬉しいとも寂しいとも悲しいとも感じた事はない。
幼い頃の小さい私の前に膝を屈する大人達を見下ろしながら私は育ったのだから。
だけど――こいつらは、そんな私にお構い無しで突っ込んで来る。

私は子供が嫌いなのはそういう理由も含まれてる。
あいつらは私のレベルも家柄もお構い無しに言いたい事とやりたい事しかしない。
平たく言えば、素のままの私に恐れも何もなく飛び込んで来る。

麦野「――まあ、許してあげるわ。寛大な心でね」

それを――跳ねつけられない私がいて、そんな私を振り回すこいつらがいて。
風が、空が、木洩れ日が、どうしようもなくささくれ立った私を包んで行く。

こういう時間も悪くないかと、そう錯覚させてしまうほどに。




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