過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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373:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/07(日) 21:04:05.44 ID:UIeiMW9AO
〜4〜

御坂『(うっ……)』

この子が言葉にするのを躊躇った理由がわかった気がする。
そして納得も行く。あの女は『母性なんて男の幻想で女の才能』って言葉がよみがえって来る。
――あの女が、自分の中の母性を否定する意味はそう言う事なのかと。

御坂『(じゃあ……あんたは)』

胸が痛みから重さへその質を変える。母性という一般的に『優しい』『愛しい』『尊い』というファクターさえ……
あんたにとってはそんなに残酷で、絶望的で、救いがないって言うの?
アイツに向ける母性的な眼差しに、そんな怖くて暗い側面があるだなんて思いたくない。

舞夏『でも――麦野沈利は本当に上条当麻を愛してると私は思うぞー?』

そんなの悲し過ぎる。辛すぎる。少なくとも――私がアイツを好きな気持ちとあまりに種類が違い過ぎてる。
私だってあの女と何を比べて引き合いに出すつもりもないけど……
病んでるだとか、重いだとか、そんなわかりやすい言葉さえ否定するような愛情の種類が私には理解出来ないよ。

舞夏『愛情って言うのは、本当に人それぞれだと思うんだなー。細い針金一本一本を束ねて太くした真っ直ぐな愛情もあれば……ぐっちゃぐっちゃにこんがらがった雁字搦めで、もう本人にも解けない継粉結びみたいな愛情もあるってなー』

もちろん、本当のところなんてあの女にしかわからない。
それが正しいとか間違ってるとかって問題でもないって言う事くらいわかる。
――私は良く黒子にゲコ太の事で少女趣味って言われるけど……それくらい、わかるよ。

舞夏『それをナチュラルに受け入れられるあたりが、上条当麻のいい所なんだろうなー』

アイツは……全てわかった上であの女を受け入れてるんだろうか?
ううん……多分きっとそう。アイツはどうしようもなく鈍い馬鹿だと思うけど……
その辺りを受け流して付き合えるほど器用でも賢いとも思えない。

チンッ

舞夏『焼き上がったぞー』

――あの女に負けたくないって思って、アイツが食べたらなんて言って食べてくれるかなって思いながら作った料理。
だけどなんとなく……今食べても美味しくないだろうなって思っちゃう。

舞夏『んーディルと魚料理の組み合わせは抜群だなー』

ディル。アングロサクソン語で『あやす』って聞いた事がある。

――やっぱり、あんたがどれだけ否定しても……私はあんたが母性の強いタイプだと思う。




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