過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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374:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/07(日) 21:05:57.33 ID:UIeiMW9AO
〜5〜

私はアイツが好きで、あの女が嫌い。アイツが私に見せない種類の笑顔をあの女に向ける度苦しくなる。
あの女しか知らないアイツの表情を知っていると思うと辛くなる。
人がこの思いを初恋と呼ぶなら、初恋ってなんて残酷なんだろう。

私のイメージだけど……まるで初めての自転車みたいだ。
真っ直ぐ走れない、こけそうになる、補助輪をつけてちゃスピードなんて出ない。
ベルを鳴らしてもアイツは私に振り返ってくれるだろうか?
ライトをつければどんな暗闇の中でもアイツを照らせるのかな?
カゴなんかじゃ収まり切らないほどの思いを乗せて、私はアイツに向かって走っていけるのかしら。

人によっては山だって越えられるギア付きマウンテンバイクみたいな人もいるかも知れない。
だけど私はそんなに器用じゃない。素直じゃない。強くない。
アイツを見て痛む胸の種類が、ときめきなのか苦痛なのかわからない。
叶えたい願いと適わない相手。それが同じだなんて辛すぎるの……

もう、あの女の立っている場所を自分に置き換え幻想に浸っても……
自分だけの現実が、二人だけの世界に適わないのがわかるから。
 
 
 
 
 
私の恋は、不治の病に対する延命措置だ。 
 
 
 
 
生まれて初めて好きになった男の子が、大嫌いで終わるはずだった女の子と一緒。
これだけなら、何も私だけが世界で一番不幸な訳じゃない。
――私の『大好き』は揺らがない。けどあの女が『大嫌い』が揺らいでる。

ねえ麦野さん。どうして私に優しくしてくれたの?
私にはあんたがわからない。そんなあんたに対する自分の気持ちもわからない。
結局朝から、あんたは一通のメールも私にくれない。私も一通のメールも送れない。返ってこないのが怖いから。

わかりやすいライバルだったなら、はっきりした敵だったなら良かった。
歩み寄れる距離が、踏み込める余地が、友達と呼び合えるほど近づけたなら――
こんな宙ぶらりんの気持ちになんてならなかったのに。

そして、きっとこんな事を思ってるのは私だけだ。
あんたは変わる事なく私を見下して、鼻で笑って、馬鹿にするでしょうね。
――あんたの性格なら、そう思われるだけまだマシな部類なんだろうけど。


遠過ぎて触れられないアイツ、近過ぎてぶつかるあんた。


その狭間で揺れる私は


私は――





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