過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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409:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/07(日) 21:55:14.34 ID:UIeiMW9AO
〜32〜

友達、という言葉の意味と重み。今の食蜂にはまだわからないもの。
しかし――目の前の逆光の少年は、恐らく『椅子の子供』である自分を生まれて初めて叱った人間だとわかった。
親でさえも、教師でさえも、大人でさえも自分をたしなめた人間などいなかったとのにと。
御坂美琴は怒りはすれど同じレベル5で同じ常盤台中学だ。ならば――この少年は?

食蜂『……友達とお食事するのって、楽しい?』

???『楽しいよ。おかげでベロンベロンになったけど』

食蜂『もっと、聞かせてぇ?』

???『うーん。もうだいぶ“毒抜き”終わったみたいやし、ホンマはもう少しお話したいねんけど』

フワッ

食蜂『あっ……』

???『僕これからすき焼きパーティーあんねん。ごめんなあ』

向日葵畑が白く霞んで行き、風景が遠のいて行く。
食蜂は手を伸ばす。行かないで。もっとあなたとおしゃべりしたい、と。
 
 
 
 
 
 
――――――しかし――――――
 
 
 
 
 
女生徒A「……様!」

女生徒B「……蜂様!!」

女生徒C「食蜂様!!!」

食蜂「!!!!!!」

店員「い、意識が戻ったぞ!!」

――瞬間、食蜂の視界は再び向日葵からファミレスの座席の上に帰還した。
周囲から沸き立つ歓声。しかしそれすら――覚醒を迎えた食蜂の耳には届かない。
逆に起こした身体でファミレス内を見渡す。今のは夢か幻か、わかるのは未だ脳にズキズキと毒針の苛む痛み。そして

食蜂「…………!」

???「ああ土御門ー?店決まったん?うん?ごめんごめん今から合流するわー」

ファミレスの出口付近、携帯電話片手に出て行く後ろ姿……青い髪の少年。

食蜂「‥‥‥‥!!」

喉が破けんばかりに叫んだせいで声がかすれて届かない。
立ち上がろうにもまだ足に力が入らない。手を伸ばしてもガードレールを跨いで渡って行く少年には届かない。

食蜂「・・・・!!」

振り向いて、あなたと話がしたい、あなたは誰なの、名前を教えて、、だが

ブオオオオオ……

???「一度会えば偶然で――」

一台のトラックが通り、少年を一瞬覆い隠し、過ぎ去った後には青い髪の少年の姿は最早そこにない。

???「二度逢えば必然や」

しかし、トラックの音に紛れて送られた背中越しのテノールボイスが、確かに指を伸ばす食蜂の耳に届いた。

食蜂「待っ……」

背の高い向日葵に指をかける幼子のように――


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