過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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493:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/16(火) 21:10:10.14 ID:yfl+7YQAO
〜4〜

警備員A「(クソッ、黄泉川隊長さえいれば……)」

断崖大学データベースセンターの周辺に、この暴風雨の中にあってさえ集まる物好きな野次馬らを制止していた若き警備員は内心舌打ちしていた。
メインとなる大学より二回りは大きいドーム型の施設から散発的な銃声と断続的な怒鳴り声が聞こえてくる。
そして――怒号は自分達の側からも響き渡っている。

警備員B「応援はまだなのか!!」

警備員C「これ以上待機していられるか!突入するしかないだろう!」

警備員D「落ち着かんか馬鹿者!このまま突っ込めば狙撃の的だ!」

警備員E「待機!?“上”からの厳命……でありますか!?」

警備員A「(……一体何がどうなっているんだ)」

――たった今、バリケード代わりにしている車両の裏手で交信している無線機は混線状態だった。
待機か突入かで揉めているだけならばまだ良い。
その上何故か……『学園都市上層部』から圧力をかけられているのだ。加えて

「………………」ニコッ

警備員A「(何者なんだ?この優男は)」

いつの間に自分達をやや遠巻き気味に見守っている蝙蝠傘の青年……
一着三十万円は下らない銀座英國屋のスーツにダレスバックを手にしたその『学園都市上層部からのオブザーバー』がにっこりと微笑みかけていた。
どうやら自分達警備員が迂闊な動きをしないよう見張っているように感じられたし――またその通りなのだろう。

「お互いに骨が折れますね。“雑用”は」

警備員A「………………」

「ああ、また勢いが増して来ましたね。せっかくのスーツが台無しです」

人の生き死にがかかった局面で尚スーツの方が大事なのか、甘いマスクに男の自分ですら見とれてしまうほど美しく青年は微笑む。
『雑用』とは何を指して言っているのだろうと問い掛けたくなった、その時――

???「………………」

ザッ

警備員A「き、君!中は危険だ!入っ――」

「――おや?これはこれは」

肌を石飛礫のように叩く横殴りの暴風雨の中、一人の女性が人垣から抜け出しデータベースセンターより駆けて行く。
持ち場を離れる訳にいかない若き警備員の制止の声は嵐にかき消された。そう

「――引退した、と聞いていましたが」

若くして成功を収めたビジネスマンのような青年の声も、また。

「いやはや、困ったものです」


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