過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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作者
◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/08/21(日) 20:50:30.26 ID:Y4ZbBsuAO
〜−15〜
スキルアウトG「はは……ははは……ははははッッ!」
降り注ぐ墨汁のような驟雨の中、スキルアウトは破顔する。
妙に青白い顔色は隠しきれない歪んだ喜悦と暗い愉悦に満ち充ちていた。
ガシャン、と手製焼夷ロケット砲を肩口から取り落とし――
切れ込みの入ったズボンの腰元に突っ込んでいたオートマチックを握り締めた。
ブルブルと武者震いに戦慄くその手首に巻かれたチェーンを鳴らして。
浜面「お前……」
スキルアウトG「やったぞ!やったぜ浜面!!あいつだよ……あいつが“茶髪の女”だ!俺の探してたクソ女だ!!」
――浜面仕上は、その様子を疲弊しきった表情で見るともなしに見やった。
演算銃器のグリップから指を一本一本引き剥がすようにして行く。
あまりに固く握り締め過ぎて手中から離れていかないためだ。
同時に――死の緊張と生の安堵による弛緩が浜面の全身から力を奪っていた。
もう腕を上げる事すら億劫に感じるほど気力をすり減らした、一種の虚脱状態。
美鈴「沈利ちゃん!沈利ちゃん!!目を開けて!息して!!返事して沈利ちゃん!!」
そして……御坂美鈴が自分を庇うようにして覆い被さったまま動かなくなった麦野に必死に呼び掛ける。
力が抜け切った全体重がのしかかり、この暴風雨以上に体温が下がっている。
背中の肩甲骨辺りから血が流れ出し、折り重なって尚感じられないほど小さな呼吸。
即死を免れたのは幸運だったが、瀕死である事は依然として変わりない。そして
スキルアウトG「俺がよお」
美鈴「!?」
スキルアウトG「俺が殺してやりたかったのによォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
ガウン!ガウン!!ガウン!!!とオートマチックから放たれる発砲音。
その銃弾が既に虫の息の麦野の背中に新たな赤い花を咲かせて散らして行く。
麦野「……ッッ!!」
美鈴「やめて!もう撃たないで!!お願いやめて!!!」
スキルアウトG「うるせえェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」
その度に麦野の身体が見る者に危機感を抱かせるような痙攣の仕方をした。
皮肉にも、死の淵にぶら下がっていた麦野を呼び戻したのはその苦痛。
脇腹と腰元にそれぞれ一発ずつ食い込んでいる。
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