過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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660:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/28(日) 21:11:26.25 ID:ZZxx+9zAO
〜8〜

麦野「………………」

雨が降ってて本当に良かったと思うわ。ってもう泣き声上げちゃったから意味ないんでしょうけどね。
でもいい――来てくれたのがあいつで良かったって本当に思う。
御坂だったら……戦わなくちゃいけなくなる。あいつは私のやり方を決して認めないだろうから。
だってあいつは正義の味方だから。だって私は悪だから。

美鈴「し、沈利……ちゃん」

麦野「……オバサン……」

もう屋根から降りて来たのか。足でも挫いたっぽいけど折れては無さそうね。
でも残念。私は骨折以前の問題よ。体力、気力、演算能力、全部振り絞って使い果たした。
けど思ったよりタフねこのオバサン。御坂の母親なだけの事はあるわ。

美鈴「良かった……生きててくれて」

麦野「……死に損なっただけ。まあそれも時間の問題なんだけど」

雨が止まない。嵐が止まない。血が止まらない。自分の身体だからわかる。
もう持たない。あいつらの戦いを見届けるより先に私は死ぬかも知れない。
つうか……おいクソババア!何するつもりよ!?何の真似だ!!

美鈴「おんぶよ。十年ぶりくらいだからちょっと腰に来るけど……って沈利ちゃん重い!ダイエットしなよ!!」

麦野「巫山戯けんな!テメエも足やってんでしょうが!!足手まといは捨てて……」

美鈴「――その言葉、さっきまでの沈利ちゃんにお返しするわ」

麦野「――――…………」

美鈴「――久しぶりだわ“子供”を背負うのは。さあ、上条君が戦ってくれてる今の内に!」

――さっきまで死にたくない、生きたいだの泣き喚いてたくせに……
クソッ……助けに来た人間に助けられるだなんて私はピエロか!この身体じゃ……抵抗出来ないよ。

美鈴「子供達が必死に戦ってるのに、大人がメソメソしてたら恰好つかないわよ」

麦野「……足手まといのくせに」

美鈴「そうよ。私は沈利ちゃんみたいに強くない。上条君みたいに戦えない……だけどね」

――雨が冷たいのに、寒くない。細い背中なのに、広く感じる。
泣いて、喚いて、叫んで、逃げる事さえロクに出来ない甘ちゃんのクセに

美鈴「子供を背負う事は出来るわ。私にはそれしか出来ない。でもね?」

麦野「……」

美鈴「なんでも出来ちゃう沈利ちゃんや美琴ちゃんでも、これだけは真似出来ないでしょ?」



――この大人(ヒト)に、勝てる気がしない――






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