過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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762:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/05(月) 21:01:08.75 ID:r59ePYOAO
〜御坂美鈴〜

美鈴「この娘は本当に強いわね……」

御坂美鈴は手術を終え深い眠りに就いた麦野の寝顔を……座りの悪いパイプ椅子に腰掛けつつ見守っていた。
その眼差しの先。湿布や絆創膏の貼られた頬、包帯の巻かれた額。
静謐ながらどこか張り詰めたその寝姿は、まるで枕元に銃を置いて眠る世界の人間のようだと感じられた。

美鈴「子供が強過ぎると大人がせつなくなるわ」

間接照明に照らされたその寝顔から、内に秘めた強さが滲み出ているようだと美鈴は感じていた。
それは自分が同性であり子を持つ母親だからかも知れないが――
麦野という少女は恐らく異性より同性にモテるタチだろうなと感じられて。

美鈴「んっ……ちょっとコーヒーでも飲んで来ようかしらん?」

そんな風に考えながら、美鈴は疲れ切っていながらも眠りに就く事を拒んでいる身体を立ち上がらせ廊下に出る。

美鈴「(そう言えば上条君ってばどうしたのかしら……まさか捕まっちゃったとか?ないない)」

涼しさと冷たさと寒さの入り交じった薄暗い廊下の空気を感じながら美鈴は歩く。
興奮という訳ではないが身体が依然として気を張った臨戦態勢のままで寝付けないのだ。
そして何より上条が姿を現すか彼女の身内とも言うべき人間にバトンを渡すまでは眠る訳に行かないと美鈴は感じていた。が

???「クスン……クスンクスン」

美鈴「……――?」

その時、通り過ぎた個室病棟から幼子が啜り泣く声が美鈴の耳朶を震わせる。
最初は病院にありがちな怪談ないし幽霊絡みの話が頭を過ぎったが――

美鈴「……開いてる」

僅かばかり開いた扉の隙間から漏れ出す啜り泣きの声に美鈴は何故か既視感を覚えた。
自分はどこかでこの啜り泣きの声を聞いた事があると。それもとても身近でありながらひどく遠い昔に。
それがどうにも放っておけず、せめて声だけでもかけてみようかと扉に手をかけると……

美鈴「ごめんなさい。どうかしたの?」

打ち止め「え……?」

美鈴「あらら……?」

愛娘がそのまま記憶の宮殿から抜け出して来たような少女が、そこにいた。

美鈴「……美琴ちゃん?」

打ち止め「!」

その少女もまた、何かに気づいたように両手で口を押さえて――




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