過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/10(土) 21:26:29.45 ID:42BNj/aAO
〜18〜
麦野「……っっ!!」
上条「お前が過去(むかし)した事を悔やんで、現在(いま)も苦しんで、未来(このさき)も辛い事があるって全部わかった上で……それでも自分で考えて、自分で決めて、自分で選んだってなら俺はお前をずっと支えてやりたいし、支えたいし、支えさせてくれよ三段活用」
上条の手が麦野の背中に回り、腕が肩を抱き、胸に顔を預けさせる。
身体をゆっくりと揺らし、後ろ髪を撫で、すっぽりと包むように。
その微笑はただひたすら優しかった。さながら幼子をあやす父性のように。
上条「だいたい、俺が居んのはになったのはお前が可哀想だからでも同情した訳でも見捨てられねえからでもないっての。上条さんはボランティア(無償の愛)で女の子と付き合えるほどマメでもなけりゃ器用でもないって俺以外ならお前が一番良く知ってるだろ?」
麦野「だっ……て!」
上条「それお前の重さが俺を支えてるとは言ったけど、そもそもお前の事本当に好きじゃなかったら受け止められねえよ。だから言ったじゃねか。恋人(ふたり)になれて良かったって。ただの他人ならどうしたって限界があるだろ」
湿布や消毒液、僅かに鉄錆のような血と汗の混じった上条の匂いに麦野は泣き濡れ潤んだ眼差しを上げる。
上条「お前、俺の事まだ神の子(ヒーロー)とか思ってねえか?」
麦野「………………」
上条「じゃあそんな幻想はもう一度ブチ殺してやらなくちゃな」
麦野「!」
そして――見上げた最後、絡め捕られた眼差しはすぐさま意地悪い笑顔に吸い込まれ――
続く反論は、反駁は、反抗は……あえなく奪われた唇にさらわれる。
麦野からせがむ事や恣意的に誘導する事はあっても、いきなりされた事などほとんどなかったからだ。
上条「――ほら、俺はここにいるぞ」
麦野「……バッ」
上条「……でもって、お前もここにいる」
麦野「――――――」
上条「少なくとも、こうしていつでもキス出来る距離に俺達はいる。俺がしたいと思ったからやる。俺だって男なんだぜ?」
麦野「あ……う」
上条「お前が怪我してなくてここが病院じゃなきゃその先に進みたいくらい俺はお前が好きだしその程度にはスケベなんだよ。男と女って違いはあっても、俺はお前と何も変わらねえ“同じ人間”だよ」
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