過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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作者
◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/10(土) 21:28:47.91 ID:42BNj/aAO
〜19〜
常日頃発揮する説教スキルがそのまま殺し文句に転嫁されたように。兄貴分たる垣根が見れば苦笑いするように。
上条「……お前はここにいる。って言うかお前がいない部屋が上条さんにはもう想像がつかんの事ですよ」
麦野「……馬鹿野郎。テメエはただ黙って独り言聞いてって言っただろ」
上条「黙って聞くだけなら壁にでも出来るけど、壁は寄りかかれるだけで受け止めらんねえじゃねえか」
思わず指先で奪われた唇に触れる。ホットチョコレートの甘い味がした。
初めてしたキスが血の味だった頃に比べれば――
少なくとも自分を黙らせる程度に上手くなったのかと麦野は変な所で感心した。
上条「お前はここにいる。それが信じられなくなったり揺らいだりした時は“当麻(オレ)がそこにいる”って思えばいい。
そりゃお前が落ち込んだり沈んだりしてる時、俺に出来る事が話聞いたり抱き締めたりしか出来ねえ時もあるけど――」
いつしか声と肩の震えが止まっていた。冷え切っていた身体が、熱いくらいの身体に温められる。
上条「――俺がいる事忘れんなよ。お前の悩みにどう答えていいかわかんなくて時間かかる時もある。お前が俺を信じられないって思う事もあるだろうさ。
でも一つだけ確かなのは……言葉でわかりあえなくても、話し合わなきゃ何も変わんねえ。俺は馬鹿だし物覚えも悪い。けどお前といる時の事は忘れない。何を思ったかも何を感じたかも」
代わりに――目蓋の裏に広がる闇が滲んで行く。
どうしようもなく瞳の奥から込み上げて来るものがある。
胸が震える。その内側にある心臓のそのまた奥にあるものが。
上条「――俺は誰かと比べてお前を選んだ訳でも、お前の中の何かを人と比べて選んだんじゃない。お前しかいないって思ったからなんだよ。沈利」
鷲掴みにされている。麦野が唯一勝てない、倒せない、殺せない少年にその心を掴まれている。
上条「今いる世界を否定してもいい。俺を否定してもいい。自分を否定してもいい。百回でもそんなお前が好きだって言ってやる。千回だってお前はここにいて良いんだって言いたい。それでも足りねえってなら――」
――麦野は、大きな勘違いをしていた。
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