過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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846:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/17(土) 21:12:24.16 ID:W55C2CfAO
〜10〜

絹旗『……フレンダは超バカですね?』

フレンダ『んにゃっ!?』

絹旗『そんな事わざわざ言いに私を追っ掛けて来たんですか?前に私に“私達は仲良しこよしのガールズサークルじゃない”とか超エラそうな事言ってたくせに』

それに伴って絹旗の手首を掴むフレンダの力が緩み、絹旗の頬も緩む。
抜けるような溜め息と抜ける肩の力。それは果たしてどちらのものか。

絹旗『早く行っちゃって下さいよフレンダ。待ち合わせがあるんでしょう?』

フレンダ『……もう良い訳?』

絹旗『良いも何も私は最初から超大丈夫です』

アスファルトを滑って行く風に追い立てられ、木の葉が足元を転がって行く。
頂点より僅かに傾いた太陽が、二人の影を薄めて行く。

フレンダ『そ!じゃあ私もう先行くね!』

絹旗『………………』

フレンダ『絹旗!』

絹旗を追い抜いて行くフレンダが街路樹に身を隠すようにして顔だけ覗かせて来る。
さながら隠れん坊に興じる子供のように八重歯を覗かせて。

フレンダ『今日はダメだけど、今度二人で遊園地行かない?』

絹旗『はあ?』

フレンダ『結局、絹旗は知り合いに依存するタイプな訳よ。なんか今の絹旗って、私の妹に似てる気がするしさ』

絹旗『妹って……』

フレンダ『あっ、いっけない』

そこでフレンダが自分の頭を小突きながら舌を出してウインクを飛ばして来た。
妹、という単語に小首を傾げる絹旗へと笑って誤魔化すように。

フレンダ『じゃあね!絹旗約束だよー!』

絹旗『ちょっ……』

フレンダは駆けて行く。己の発した言葉に覚えた照れを隠すように。
絹旗はそれを唖然として見送り……舞い散る銀杏の葉の中薄く微笑んだ。

絹旗『そういう約束って超死亡フラグって言うんですよ?まったくもう……』

約束。黒夜海鳥とは果たせず終いだった映画館に行く約束。
守られるでも破られるでもない約束……それが妙にくすぐったっかった。

絹旗『――私も超まだまだですかね――』

そして絹旗は再び歩み出す。果たされるかどうかわからない約束を胸に。

その約束がどうか果たされる事を、信じる事を止めた神に祈るように――


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