過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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852:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/17(土) 21:22:58.65 ID:W55C2CfAO
〜15〜

滝壺『………………』

浜面『何もかもヤケクソになって投げ出そうとした俺を引き戻してくれたのがアイツなら、折れかけた俺をもう一度立ち直らせてくれたは滝壺、お前なんだ』

あのレベル0の少年は目を背けていた自分自身を突きつけて来る真実の鏡だった。
同時にあのレベル5がレベル0のフレメアを助けたという事実が浜面をこの世界に引き止めた。
そして冷たい雨の中、汚れる事さえ厭わずに抱きしめてくれた滝壺の存在が浜面を奮い立たせた。
どれか一つ、誰か一人欠けていても浜面は今のように自分を取り戻す事は出来なかっただろう。

浜面『……ありがとう滝壺。お前に会えて本当に良かった』

滝壺『!』

浜面『――ずっと、それを伝えたかった』

無能力者狩りに、学園都市に、人間そのものに半ば絶望しかけていた浜面を救ったのもまた同じ人間のぬくもりだった。
それは耳を澄ませていた滝壺にも伝わって来るようで――

滝壺『……ありがとう、はまづら』

浜面『よせよ。お互いにありがとうって言い合うのってなんかくすぐったいっつの』

滝壺『……ううん。良かったよ、はまづら』

照れ隠しのようにピアスの千切れた鼻の頭を掻く浜面の僅かに赤らんだ顔を――



滝壺『……最後(最期)に、はまづらに会えて(逢えて)良かった――』



浜面『えっ?』

滝壺『――――――………………』

――白蝋のように青ざめた顔色の滝壺が……そこで言葉を途切れさせた。

ガクンッ

浜面『!?……滝壺?おい、滝壺!!!』

滝壺『………………』

フィラメントの切れた照明か、糸を失った操り人形のように……
事切れた死人が如く滝壺はシートベルト以外の支えの全てを失った滝壺が意識を手離した。
呼吸が口元に耳を近づけないとわからないほど小さく、弱く、儚く――
魂が抜け落ちた骸も同然の滝壺に浜面の声は届かない。

浜面『滝壺ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーッッ!!』

学園都市暗部にあってすら禁忌とされる『体晶』……
その溜まりに溜まった毒素が葡萄酒の澱のように滝壺の身体を蝕み、体内から喰らうかのように舞い上がった。


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