過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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853:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/17(土) 21:23:25.56 ID:W55C2CfAO
〜16〜

冥土帰し『“体晶”だね?』

そして浜面は切羽詰まった状況下から覚えたてのコード五ニを引っ張り出すまでもなく――

冥土帰し『“暴走能力の法則解析用誘爆実験”に用いられていたものだ。意図的に拒絶反応を起こし、能力を暴走させるための』

第七学区にいた事から最寄りの病院、冥土帰しの元へ滝壺を担ぎ込んだ。

冥土帰し『暴走能力者の脳内では通常とは異なるシグナル伝達回路が形成され、各種の神経伝達物質、様々なホルモンが異常分泌されているんだ。体晶とはその分泌物質を採取し、凝縮、精製した能力体結晶だ』

そのカエル顔の医者からの説明を呆然と、診断を茫洋と浜面は聞いていた。
奥歯を噛み砕かんばかりに食い縛り真一文字に結んだ唇を戦慄かせて

冥土帰し『彼女はなんとかRSPK症候群の一歩手前で踏みとどまっている。今ならまだは彼女の健康を取り戻す事が出来る』

己の無力さと現実の無情さに打ち震える膝の上で

冥土帰し『その代わり約束して欲しい。二度と彼女に能力を使わせないと。一度でも発動させたが最後、彼女は“崩壊”を迎える事になる』

浜面「クソッタレ!!!」

グシャッ!と手にしていた紙コップを握り潰し、浜面は談話スペースでこらえきれぬ呪いの声を吐き出した。
火傷しそうな熱さのコーヒーがぬるま湯にさえ感じられるほどの熱度と怒りを湛えて。

浜面「こんな……こんな馬鹿な話があってたまるかってんだ!!」

手の平からこぼれ、指の股から滴り落ちるコーヒー。
そこに熱を失って行った滝壺の体温がまだ残っていた。
それは浜面の手に再び見出せたかも知れない掛け替えのない物が零れ落ちて行くようですらあった。

浜面「ちく……しょう!」

生まれて初めて自分の手で守れたかも知れない少女の命が今まさに失われようとしている現実。
取り戻した己を見失わぬよう、浜面は全身全霊でそれに耐えていた。

麦野「………………」

その場より程近い渡り廊下に佇む、サイドポニーにリムレスの眼鏡をかけた少女の視線にも気づかずに――




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