過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/17(土) 21:46:39.14 ID:W55C2CfAO
〜31〜
心理定規「何を作ってるの?」
垣根「ロングアイランド・アイスティー」
心理定規「……貴方紅茶なんて飲むの?」
垣根「名前だけだ。紅茶なんざ一滴だって入っちゃいねえ。つうか来る時はコールの一つくらい鳴らせよ」
同時刻、垣根帝督と心理定規は『スクール』の隠れ家にいた。
垣根はシャワーでも浴びていたのか上半身裸のジーンズ姿であり――
五種のアルコールを一つのグラスに注ぎながら未だ水滴滴る頭には無造作にタオルを乗せてミニバーに立っていた。
心理定規「失礼。で、それはどんなカクテル?」
垣根「ラム、ウォッカ、ジン、テキーラ、オレンジリキュールをレモンジュースにぶち込んだカクテルだ。見た目だけは紅茶だがな。飲むか?」
ソファーに腰掛けつつファッション雑誌のページを手繰っていた心理定規の視線が垣根の上半身に注がれる。
五種のアルコール……ラムはメンバー、ジンはブロック、オレンジリキュールがアイテム、ウォッカがグループでさしずめ自分達スクールはテキーラかと。
その全てを混ぜ合わせて飲み干すという行為の意味。
心理定規は垣根の水滴したたる鎖骨から視線を外し、言った。
心理定規「……アルコールも良いけど、明日に差し支えないようにしてちょうだい」
垣根「言われるまでもねえよ。つうか何しに来たんだお前は」
心理定規「ベッドを半分借りに来た――って言ったら……どうする?」
一息にグラスを煽って飲み干した垣根がガシガシとタオルで髪の水気を拭き取って行く。
心理定規の言葉を聞いているのかいないのか、新たに取り出した黒色の煙草に火を点けて。
垣根「好きにしろ」
心理定規「……そう。じゃあそうさせてもらうわ」
消沈したように呟き、怒ったように雑誌を投げ捨て、心理定規は垣根とすれ違う形で空いたばかりのシャワールームに向かう。
心理定規「――貴方、いつか必ず誰かに背中を刺されるわよ」
垣根「安心しろ。自覚はある」
薄暗い室内、窓の外に広がる紛い物の地上の星々。闇を照らせど晴らす事の出来ない脆弱な光達。
心理定規「――刃が、真っ正面からだけ飛んで来るだなんて思わない事ね」
夜の底を這いずり回り、朝陽の光に集る自分達は火に焼かれる虫のようだと心理定規は思った。
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