過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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914:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 15:30:41.89 ID:LC5MmfkAO
〜19〜

ずっと遠回りして来た気がする。どこから道を間違えたのか、その分かれ目すら思い出せないほどに。
どこまで行けば良いのか、いつまで生きれば良いのか、何をすれば良いのかさえ。

わかってる。人を殺したあの日から私の世界は終わってしまった。
私に身内を殺されたヤツが現れたあの雨の夜が私の世界の果て。
何度考えても答えなんて出やしなかった。結論は最初から出てるんだから。

でも今はそれで良いと思ってる。紛い物の価値観に鍍金貼り付けたってそんなもんすぐ剥げ落ちる。
黄金律の方程式なんてどこにもない。ダイヤモンドみたいに変わらず輝く答えなんて有り得ない。
たかが炭素の塊に、鑿で砕けるような石ころに『永遠』なんて宿るはずがない。


私がガラスケース越しに見てたダイヤモンド(げんそう)は、やっぱりただの石(げんじつ)だった。


石。意思。意志。遺志。賢者の石でも愚者の石板でもない征服せざる者。
私と一緒に食事した連中、私と一夜を共にした御坂、私を一番に遊園地に連れてってくれた当麻。
私に生きろと言った大人、私に背負えと言った医者、私に手を貸してくれたあいつら。

私の閉じた世界の内側で今も生きてるあいつら。私の終わった世界の外側で今も戦っているこいつら。
迷走して、逆走して、奔走して、一周してやっと辿り着いた私の始まりの場所。
私が後にした賽の河原で今も石を積み続けているこいつらを見た時、私の中の何かが弾けた気がした。

私が犯した過ち、それはこいつらを勝手に過去にしてしまった後も続く現実。
ずっと前だけを見ているつもりで背を向け目を切っていた世界。
私はそこでこれからも悩み苦しむ。戦い続ける。答えなんてずっと出ないでしょうね。



――それでいい。答えを手にしていれば、きっと私はそれだけにこだわり続けて他の物に手を伸ばそうとはしなかったから。


美鈴『美琴ちゃんを守ってあげて』

殺す事しか出来ない右手に御坂を託されて

禁書目録『とうまを護って欲しいんだよ』

壊す事しか知らない左手で当麻を守ると誓って

滝壺『むぎの、私大切な居場所(ひと)、出来たんだよ』

あいつらに向けた背で、こいつらを背負いたいって。




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