過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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959:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 16:30:40.69 ID:LC5MmfkAO
〜55〜

御坂「(あ、第四位からメールだ)」

一方、再建された常盤台中学女子寮にて食事会を欠席した御坂に麦野からメールが届いた。
その文面『やっぱあんたも来ない?』というものだったが――

御坂「(……まだちょっと無理かな)」

ストラップのない携帯電話を操作し丁重に断りのメールを入れる傍ら御坂はルームメイトたる白井のベッドを見る。
そこには『円環状の金属ベルト』と『軍用懐中電灯』と『霧ヶ丘女学院のブレザー』が置かれていた。
当の白井がシャワーに入っているのを見ると御坂はベッド側にあるサイドボードへと目を走らせる。そこには

御坂「――黒子を置いてなんていけないわよ」

古めかしいラピスラズリが散りばめられたウルトラマリンのオイル時計。
そして水没し壊れてしまった携帯電話が飾られていた。
8月10日を境に学園都市から、もしかするとこの世から消えてしまったかも知れない……
第八位滝壺に次ぐ新たなる『九人目のレベル5』の忘れ形見がそこにはあった。

御坂「また、こんな風にみんなで笑い会えたら良いのに」

御坂の眼差しが自らのサイドボードへと振り返られる。
そこにはインデックスの膝で眠りこけ、青髪が、雲川が、スフィンクスが、麦野が、上条が御坂を見守っている記念写真。
たった一年だと言うのに、まるで遥か遠く昔のように御坂には感じられてならなかった。

御坂「……メールくれたのに、顔合わせられないよ」

御坂は写真を見つめていた瞳を閉じて目蓋の裏に過ぎ去りし日々を仰いだ。
かつて御坂は麦野に手を貸した。されど今御坂は麦野が寄越す手を取れない。
御坂の手が沈み行くベツレヘムの星に残った上条に届かなかったように。
それでもあの光の翼で北海に飛び込んで行って上条の手を取った麦野に届く気がせずに。

白井「――どうかなさいましたの?“御坂先輩”」

御坂「……何でもないよ」

二度とツインテールに結ばれる事のない長い髪から水気を拭き取りバスルームから出て来た白井を見る度御坂は思う。
自分は麦野のように恋人に、インデックスのように家族にもなれなかった。
さりとて終わらない夏への扉の向こう側に消えた『彼女』と共に心を埋葬してしまった白井のようにもなれないと。

御坂「明日晴れるかなー……ってね!」

麦野が星ならば、インデックスが月ならば、御坂は太陽のように微笑み返し……そして


――――運命の朝がやってくる――――




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