115:1 ◆BycwRokz6k
2011/12/03(土) 23:18:42.73 ID:IOqROHYa0
そうだ。何故俺のところに現れたんだ。
最初はめんまが俺に会いに来てくれたのかと思ったのだ。
俺だけに見えるめんま。俺だけが分かる。俺だけの。
「なんで宿海にも見えるんだよ!」
もう泣き出してしまいそうだった。そこまで言うと、めんまはついに口を開いて、激しく反論してくる。
けれどその口調に反して、瞳が涙にきらめいていた。
めんまも泣き出してしまいそうなのだ。
「そんなの!
めんまだってわかんないよっ!」
「!」
「だって!めんま!めんまは!」
ぽろり。
ぽろり。
目の前で涙を流すめんま。動揺して俺は、手の力を緩める。
「・・・・・めんまも・・・っ!・・・『お願い』、叶えて欲しくて・・・・・っ!だから・・・だから、こうして・・・・・」
めんまはがくりと膝を折って、床にへたりこんだ。
両腕で涙を拭いているのが分かる。
俺はめんまの頭と、めんまがしゃくりあげるたびに動く白い肩を見下ろして、呆然と考えていた。
『お願い』?
無理だよ。無理だ、俺には、無理だ。
だって、おかしいじゃないか。
二度と会えないはずだった、ずっと好きだった初恋の女の子にまた会えたんだぞ。
ずっと会いたかった女の子に、会えたんだぞ。
嘘じゃないんだろ?
夢じゃないんだろ?
消えると知って、どうして消すだろう。
叶える訳がない。誰だってきっとそうだ。やっと手に入った大切なものを、消すために努力するなんて、しない。
・・・・・・あのときの返事だって、ちゃんと聞いてないのに。
――最初から、宿海のもとに現れていればよかったんだ。
いつのまにか、雨が降り始めていた。
昼の暑さをかき消すかのように、雨足は強くなっていく。
それでもどこからか、まだ、蝉の声が聞こえていた。
ごめん、これから一週間くらいはまた更新できそうに無い。すまない。
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