134:1 ◆BycwRokz6k
2012/03/09(金) 21:34:34.71 ID:pZ/tH/qm0
(・・・あ)
畳の部屋に仏壇をあるのを見つけた。
たぶん、めんまのだ。
たたた、と駆け寄る。
「・・・めんまがいる」
額縁の中で、お祭りの屋台を背景にめんまが笑っていた。
写真の隣には、お花が飾ってある。
お花が新しい。ちゃんと、替えてくれてるんだね・・・
「ママ・・・。」
来よう、って思い始めたときは、あんなにワクワクしてたのに。
いざとなっておうちに入ったら、こんなに悲しい気持ちになるなんて。
・・・・・思わなかった・・・・・。
目のところがあつくなる。
じわじわ、あつくなる。
そしてこんどは、目の前の世界がゆがむ。
まばたきひとつしたら、生まれた涙が落ちる。
それがわかるから、急いで目をこすった。
泣いてばっかりだ、めんまは。
「めんま・・・は」
ママは、椅子に腰掛けて頬杖をつきながら、テレビをぼんやり見ている。
「めんまは・・・ね・・・ママ・・・」
返事が無いと分かっていても、話しかける。
こんなに近くにめんまはいるけど、ママは気づかない。ママは分からない。
ママの世界だと、めんまの声なんてどこにもなくて、このリビングではテレビの音しか響いてないの。
『人』との距離が、とおい。
「こうやって死んじゃって・・・幽霊になって・・・ずっとゆきあつのおうちにいる・・・けど・・・・・」
いつまでこうしていられるんだろう?
そう思うと、もう声にはならなかった。
めんまは、消えなくちゃって、成仏しなくちゃって思うのに、少しだけそれが寂しいと思ってる。
ゆきあつに、あんなに偉そうに『お願いしっかり考えるよ』なんていってるくせに、頭だと分かってるのに、でも、まだ『寂しい』。
ママは、ぼんやりテレビを見続けている。
「でも・・・消えなくちゃ・・・」
ママ。
きっと、さーくんやパパと、仲良くね。
幸せになってね。
「成仏しなくちゃ。」
立ち上がった時に、ママが一瞬こっちを見たような気がした。
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