191:1 ◆BycwRokz6k
2013/06/03(月) 23:52:16.83 ID:eMsQ4VIu0
 お久しぶりです。  
  >>190  
  ありがとうございます!もう少しなので、どうにか頑張ります!映画公開までにはっ!!  
    
    
  チャイムの音だ。  
  ・・・めんまか?  
  「ちょっと行ってくるわ」  
  「ええ」  
    
  鶴見に断りを入れて玄関へ。玄関の扉をがらりと開ける。  
    
  「はい・・・っ!?」  
    
  頭の片隅に、めんまを思いが居ていたものだから、小柄なめんまと打って変わって俺よりも背が高い人物が居たことに驚きを隠せなかった。  
  しかもその人物が―――・・・  
    
  「・・・よお・・・数週間ぶりだな、宿海・・・」  
  ゆきあつ。  
  「な・・、何しに来たんだよ・・・?」  
    
  すっと全身の血が引いた思いだ。わざわざゆきあつが俺の家まで来るとは・・・。  
  目の前のゆきあつは何故か肩で息をしている。急いで走って来たのかもしれない。ますます何の用なのか。  
  端正な顔は歪んで、俺を憎らしげに睨み付けている。会って早々この表情は何だ・・・。それにしても怖いので、俺は自然と息をのんでいた。  
    
  「なあ・・・お前、めんまと会ってたのか?」  
    
  子どものころから大事にしていた宝物を壊された時のような。  
  大事に手入れしてきた庭を踏み荒らされた時のような。  
  全身全霊の恨みを込めたような声でゆきあつが俺に問う。  
  単純に怖い。かすれた声しか出なかった。  
    
  「・・・は?」  
    
  隙だらけの俺はいくらでも突く場所があるのだろう。にらみをきかせながらゆきあつは言う。  
    
  「めんま、お前んちに来てたのか?」  
  「・・・そうだけど・・・」  
  「いつからだ・・・!!」  
    
  めんまは俺と会ったことを伝えたんだろうか。いや、悪いことじゃない。けど、ゆきあつがこんだけ怒ってるのはこれが原因、か・・・。  
  とことん憎まれてるな・・・、俺は・・・。  
  今にも胸倉に掴みかかってきそうな雰囲気だが、ゆきあつはまだ玄関の外に居る。  
    
  「ゆきあつ・・ソレを確認しに来たのか」  
  「違う。聞け!・・・これ以上、俺たちに関わるな!」  
    
  声を張り上げたゆきあつの表情は、今にも壊れそうに震えて、表情の中にゆきあつの心情が見え隠れしていた。  
    
  (・・・ああ、こいつ怒ってたんじゃ・・・なかったのか・・・)  
    
  怯えてたんだ。  
  どうしてか・・・、俺はゆきあつの気持ちが分かってしまった。何となくだけど。  
    
  ・・・でも、めんまの気持ちにも俺は触れた気がするんだ。  
  たのみごとしていい?、なんて、凄く申し訳なさそうに話を切り出して。自分のお願いの手がかりを知るために、めんまは俺たちに頼んで、一緒に自分の家に入らせてもらって。道中ずっと静かに俯いて。口数少なく、自分の遺影の前に座って。自分の死に向き合って。やっと手に入った日記帳を持って、その表紙を見つめる背中はどこか寂しそうで。でも、振り返ったら笑ってやがる。  
    
   
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