192:1 ◆BycwRokz6k
2013/06/03(月) 23:53:12.07 ID:eMsQ4VIu0
「手を出すな!めんまにこれ以上、関わらないでくれ!どうして俺とめんまの邪魔をする!?」
今のめんまは、複雑な気持ちなんだ。
超平和バスターズに会うと、めんまは飛び上がるほど嬉しそうだったけど、その一方で、自分の『お願い』についてはしっかり考えないといけないって思っている。
そういえば・・・めんまの『お願い』がかなったら、めんまはどうなってしまうんだろう。考えたこともなかった。成仏ってやつかな。今のあいつ、幽霊だし。
でも、その成仏を望んでるんだろう、めんまは。
ずっとこの世にいることを望んではいない。
そうじゃなければ、日記帳を手に入れようとしない。
「『お願い』叶えるだなんて、お前ら言ってるみたいだけどな!分かってんのかよ・・・」
「雪松・・・?あんたどうしてここに・・・」
大声を聞きつけて、鶴見もやってくる。けれどそんなこと気にもしない。ゆきあつは、わなわなと唇を震わせて声を上げる。
「めんまが消えるかもしれないんだぞ!!?」
子どもが泣き喚く声にも似た悲痛な響きがそこにはあった。
ゆきあつは頭を抱えて、ふらふらと扉から離れる。そして、ぽつりと涙まじりの消え入りそうな声。
「俺から・・・もう、めんまを取り上げないでくれ・・・!」
だから、こんなゆきあつの言葉を聴いたら・・・。俺は。
「お前っ・・・いい加減にしろよ!」
声を張り上げていた。
ゆきあつが目尻に何か潤ませながら、呆然とした表情を見せる。
「超平和バスターズと関わる時は、嬉しそうにしてたけどな!いつか消えないといけないってアイツは、ちゃんと分かってるんだ!」
ゆきあつは俺を見ていた。少し唖然としながら、その顔は段々、悔しそうに歪んでいく。
「お前がめんまをこの世に留めて置きたいのは、俺だってなんとなく分かる!俺だって・・・!ちょっと、思ったよ!」
もし俺がゆきあつの立場で、めんまと一緒に暮らして、めんまの笑顔が、存在が、声が、日常のものとなったなら、・・・俺だってゆきあつと同じように、お願いなんて叶えなきゃいいって、思ってしまうんだろうか。
次の日もめんまにあいたくて、日記帳を俺が引き取った。あの行動の根底にある想いは、ゆきあつがめんまと一緒に居たいと想う気持ちと、多分、同じ。
「でも!それは!!」
ごめんな、めんま。ちゃんと日記帳返さなきゃな。
「俺の・・・お前の、我侭じゃねーのか!」
握った拳が痛い。
「めんまのことを、本当に想うんなら・・・!」
家の外から鳴り響く蝉の声と、俺の怒鳴り声だけが空間に響く。
ふと見たゆきあつの顔は、先ほど悔しそうに歪んでいたのとは違う色を見せていた。
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