193:1 ◆BycwRokz6k
2013/06/03(月) 23:54:45.39 ID:eMsQ4VIu0
「・・・めんまのために、めんまの願いを叶えるべきじゃねえのかよ!?」
めんまと関わって数日の俺が言えた話ではない。それは分かる。自分勝手、我侭、だなんて、・・・我が身可愛さに引きこもる俺が、なんて偉そうに。
けれど言い出したら止まらなかった。
めんまのことを想ったら、止まらなかったんだ。
その証拠にこの頭の中にはめんまの顔ばっかりがよぎってしまっていて・・・。だから、よく頭が回らないのに、口が勝手に動いていた。
「めんまだって・・・、つらいんだよ・・!」
いつの間にやら、涙がこぼれていたことにはっと気付く。鼻の中が重い。
涙をぬぐって、ゆきあつを見据える。
――だぁれが、こんなブス!
忌まわしき過去のあの日。
超平和バスターズが、音を立てて崩れ落ちたあの日の。
めんまの泣き笑いのような表情が思い起こされる。
何でだろう。
不思議ともう躊躇なんてせずに。
ゆきあつの目を見据えながら。
「俺」
あの日の、めんまに言うように。
「めんまが好きだ」
今となってはもう遅いのだとしても。
「・・・好きだった」
「俺だって!!!」
ゆきあつはそう吼えるように叫んだ後、握り拳を見てるこっちが痛くなるくらいに強く握り締めながら、去って行く後姿が見えた。
・・・その、後姿が消えてから、しばらくしてから自責の念のようなものが自分の中に立ち上る。自分の怒鳴った声、涙の味、ゆきあつの表情・・・とかが全部がいっせいに俺を襲ってきたので、後ろの鶴見に向かって俺は言う。自分でも情けないと思うような声で。
「ごめん、余計なこと・・・した」
「ううん・・・」
意外にも鶴見の声は落ち着いていて。振り返ると、もっと意外な事に鶴見は、わずかに微笑みすら浮かべていた。
「言えるんじゃない、宿海君」
「・・・え・・と」
それは何に対しての・・・ことだろう。
今までびびりまくっていたゆきあつに対してあれだけの暴言(?)を吐けたこと?
それとも・・・・・・・・・・・・・・、
「あの日も、あんな風に素直になれたら良かったのにね」
「や・・・修羅場になるだろ、・・・」
「そうかしら」
う・・・・ああ・・・顔から火が出そうだ・・・・
鶴見に背を向けて火照っている顔を隠すように、手のひらを広げた時、鶴見が言った。
「あの頃のゆきあつなら、多分・・・。宿海君が正直に気持ちを話していたなら、もう諦めていたと思う」
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