6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/07/08(金) 22:42:59.39 ID:VM4J427F0
涙が出そうになった。
「めんま・・・」
俺は、教科書をめくろうとするめんまの白い手に触れる。
「ん?」
「めんま、なのか」
「めんまだよ?」
「ほんとうに、めんま」
「うん、めんまだよ?」
「・・・・・めんま」
本当は幻でも、夢でも嘘でも何でもよかったんだ。それが俺にとってのめんまなら。
何でもよかったのに、俺の目の前に居るめんまは、嘘じゃなかった。
「・・・ゆきあつ?」
近くに居るからだろうか。
風が吹くたびに微かに漂うめんまの髪の香りが、どうしようもなく俺を冷静ではなくさせた。
「ど・・・どうして泣いてるの?どうしたの?」
おろおろと慌てるめんまの声に、懐かしさがこみ上げる。
俺がこけたときも、そうだったよな、めんま。
そっとめんまのワンピースを掴む。
「勉強しすぎで疲れちゃった?」
ああ、俺はまだまだだな。
ワンピース、こんな生地だったのか。俺が買ったワンピースより、若干薄いんだ。
「あ、おなか減ったんだね!めんまなにか、つくろーか!」
このめんまは幻なんかじゃ、ない。
俺の生んだ幻想でもないし、当然、俺自身でもないのだ。
だってこんな甘くて優しい香りは、めんましか持ってない。
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