76:1 ◆BycwRokz6k[sage]
2011/08/24(水) 20:32:01.72 ID:uXeRvMYY0
>>75
わかりました。
わざわざありがとう。遅くて申し訳ないが、見てくれる人がいるのが本当に嬉しい。
「・・・うん。虫取りやろうぜ!」
沈黙を遮った久川の明るい声で、俺はハッとした。
周りを見てみると、先ほどより何処となく柔らかな雰囲気が漂っているように思えた。昔の記憶は楽しいものばかりだったからか分からないが、少なくとも、久川に渡された網と籠を嫌そうな顔をして受け取るやつは1人もいなかった。
ふと隣を見てみると、宿海はなんだか新鮮そうに網の持ち手を握ったり離したりと、プラスチックの網の感触を確かめていた。少し嬉しそうだ。・・・そうだな、お前、虫取りのときはほとんどいい虫捕まえて、めんまにいい格好見せれたもんな。
俺はそんな宿海から視線を外し、久川に渡されためんま用の網と籠をめんまに手渡した。
めんまは嬉しそうに網を振り上げ籠を持ち上げて大きな声で言う。
「よーし!いっぱいとるぞー!」
無邪気なめんまの笑顔に、自然と自分が笑みを浮かべているのに気づく。
「はりきりすぎるなよ、めんま」
「だーいじょうぶ!」
可愛らしいガッツポーズとともに、めんまは一目散に木に向かって走り出した。
空中に浮く網と籠を見た久川が、おっ!と嬉しそうに声をあげる。
「めんまー!抜け駆けか!?ずりーぞ!」
「へっへー!いっちばーん!」
めんまとめんまを追う久川がたどり着いた木は、あの頃には確か、一番虫が取れると評判だった(俺らの中で)木だ。
めんまは早速、ひょこひょこと網を動かして虫を捕まえようと忙しい。
「おーい!じんたんもー!」
振り返って声をかけたのは久川だ。
「・・・おー。」
まんざらでも無さそうに、宿海もめんまたちの集まる木に走りよった。
・・・それとは対照的に、参加を渋る後ろの女子2人に俺は呆れつつ、仕方なしに声をかける。
「おい、いこーぜ」
「・・・」
「おいてくからな」
はあ、と溜息。鶴見のだ。
「行くわよ」
「・・・まっ・・・待ってよ!あたしも行くし!」
鶴見の後姿を見て、やっと安城も動き出した。
昔と違って扱い方が難しくなったかもな、こいつら。
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