414:LX[saga sage]
2011/12/11(日) 19:28:01.29 ID:4RwNR2iJ0
「はい?」
(あー、またコイツ、弱気の虫が出ちゃった!) 美琴はほぞを咬む。
(ちょっとやりすぎた、かな)
「いやさ、お前も知っての通り、おれは今まで決して「当麻!」」
美琴は身を乗り出してしっかりと当麻の目を見つめる。
「自分に自信を持ちなさいよ! アンタは確かに普通の人じゃ考えられないほどの経験をしてきたわ。
アンタが自分で言うとおり、『不幸』なことも沢山あった。でも、あんたはそれらを一つ一つ乗り越えてきたじゃないの?
いい? アンタは、あたしが知ってる限り少なくとも2回は『死んでいる』のよ?
最初は、記憶を失ったこと。そして2回目は冷たい北極海に沈んで行方不明になったこと。
でも、アンタは生きて、生き返って、ここに帰ってきて、あたしの前にこうしているじゃないの? あたしの料理食べてくれてるじゃないの?
自信を持ってよ、そして、父さんの前で自信を持って名乗ってよ、『僕が上条当麻です』って! ちゃんと言ってよ、言いなさいよ!」
美琴は、半分べそをかきそうになりながらも当麻を叱咤激励する。
(しっかりしてよ、当麻。御願いだから、あたしが惚れた、上条当麻に戻ってよ)
当麻の顔は時にゆがみ、そして一瞬遠い目になり、そして再び美琴を力強く見つめた。
「そうだな。そう、確かにその通りだな……すまないな、美琴。ははは、我ながら今のは情けなかったな、ちょっと」
「大丈夫?」
「うん! 安心しろよ。お前のお父さんが、娘の彼氏にどんな理想を持ってたのか知らないけれど、例えその理想の男に今のおれが全然ほど遠かったとしても、いつかその理想の男に近づいてみせる、いや追い越してみせるさ!」
真剣な顔で彼、上条当麻は目の前の御坂美琴にはっきりと宣言した。
「……あ、ありがと……あたし、すっごく嬉しい」
(良かった……立ち直ったわ) 真っ赤な顔になった美琴がうつむく。
「あ、あたし……あんたに……当麻にそう言ってもらえて……すっごい幸せ……今日、思い切って言って良かった、ほんとに良かった」
ぽとぽとと涙が落ちる。
「い、いやぁ、ちょっと恥ずかしいこと、言っちゃったかなって……で、あの、もしかして美琴さんは泣いてるのでせうか?」
ちょっと照れた顔で、当麻はポリポリと頭を掻く。
「当麻のばか」
そういうと、美琴は顔を殆ど上げずにティッシュボックスから数枚の紙を取り、顔を覆う。
そしてそのまま身体をずらし、後を向いてチンと鼻もかむ。
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