511:LX[saga sage]
2012/02/05(日) 20:35:30.39 ID:wkzQzq6H0
「ありがとう、ございます」
当麻が頭を下げて、そして美琴を見て言う。
「あのさ、美琴」
「自分の食い扶持……っていうのかな、お前の稼ぎには、たぶん、おっつかないだろうと思うんだ、俺の、実力じゃ、な」
酔っぱらいつつも真剣な顔で美琴に話しかける当麻。
「残念だけど、たぶん、ね」
涙の跡が残る泣き顔のまま、美琴が少し微笑む。
「でも、お前にもたれかかる、ような真似だけは、したくないんだよ。笑うかも知れないけど、さ」
「わたしは……」
「さっきも言ったんだけど、自分で、ちゃんと独り立ち出来たら、食っていくめどがついたら、その時、俺、お前を迎えに行くから。
ここにまた、挨拶に来るからさ」
「あんた……」
「だから、少し待ってて欲しいんだ。頼む。必ず迎えに来るから、な?」
「わかった……待ってる」
「すまない」
「忘れたら、酷いからね」
「忘れないさ。約束だ」
見つめ合う二人。
「よぉーし、決まった!! うちの美琴と、上条くんとは、これで婚約だ! 目出度い。実に今日は目出度いな、なぁ美鈴!?」
宣言する旅掛。
「あはは、嬉しいわぁ、ようやく私に息子が出来たのねー! んもぅ、可愛い〜 もうスリスリしちゃう〜!!」
すっと身体を寄せた美鈴は当麻の頭をひっつかんでぐりぐりと自分の胸に抱きしめる。
「こらぁー、酔っぱらい〜! どさくさに紛れてなにすんのよぉぉぉぉぉぉぉぉー!」
美琴が叫ぶ。
「ちょ、ちょっと気持ち良いけど気持ち悪いんです〜 勘弁してくださ〜いぃぃぃぃぃぃ……」
不幸、いや幸せ、どっちだ? と考えるうちに当麻の意識は薄れてゆく。
「えー、気持ち悪いってそれは失礼じゃないー?」
「ちょっとアンタぁぁぁぁぁ―――!?」
という美鈴と美琴の叫びを遠くに聞きながら……。
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